地域別概況

東・中央アジア


地域内外の連結性強化と産業多角化を通じた持続的な発展を目指して

資源依存からの脱却と連結性の強化が課題

東・中央アジア地域の協力対象国は、中国、モンゴル、中央アジア5カ国とコーカサス3カ国の計10カ国です。

モンゴル、カザフスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャンは資源に恵まれ、急速な経済成長を達成する一方で、過度な資源依存型経済構造のため、資源国際価格の変動の影響を受けやすいという脆弱性を抱えています。ウズベキスタンでは綿花と天然ガスに依存する経済からの脱却が課題であり、政府主導で投資促進と産業振興が進められています。また、資源に乏しいキルギスやタジキスタンでは、ロシアなどへの出稼ぎ労働者による送金がGDPの3分の1以上に達しており、国内産業の育成と雇用の創出が急務となっています。

近年は資源価格の低迷、ロシアや中国の経済成長の減速などによる各国経済への影響が懸念されています。加えて、新型コロナウイルスの感染拡大は、移動の制限に伴う出稼ぎ労働者からの送金の減少、失業率の上昇、保健医療等の社会サービスの脆弱性の露見など、同地域の社会経済に大きな影響を及ぼしています。

こうした状況を打破し持続的に発展する経済システムを構築するためには、資源依存経済を克服するための民間主導の経済活動の活性化、産業の多角化、域内外の連結性の強化に寄与するインフラ整備などが重要な課題です。

ガバナンス強化やインフラ整備などに重点

中国を除く9カ国は旧社会主義国であり、市場経済移行国です。ロシア、中国という二大国や南アジアや中東と国境を接する国が多く、政治・経済的な影響を強く受けています。この地域の各国の自立と安定が維持されることは、ユーラシア大陸全体の安定に不可欠です。

2020年度は以下の4点を柱に協力を進めました。

  1. ガバナンスの強化
    例:法整備(投資環境整備)など
  2. 産業の多角化
    例: 農家や金融機関の能力向上支援、中小企業振興など
  3. インフラの整備
    例: 地域内外の連結性の強化と格差の是正に向けた空港、発電所等の計画策定と建設など
  4. 人材育成
    例:留学生事業の推進など

キルギス:首都ビシュケクの有名な高級雑貨店前で催された、JICAが支援する一村一品事業で生産されたジュースの試飲販売会[写真:原口明久]

キルギスの元JICA留学生(無償資金協力)161人
*1中、局長級以上の役職に登用された人数と比率
(2019年度現在)
*1 2007-2016年度受入れ。

日本人材開発センター(モンゴル、カザフスタン※2、ウズベキスタン、キルギス)の受講者総数
(2020年度までの延べ人数)
*2 2012年度でプロジェクトは終了。

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