地域別概況

アフリカ


コロナ対策と現地企業の活性化・イノベーションへの取り組み

各国の成長に深刻な打撃

近年、アフリカにおいては、貧困や社会開発の状況が大きく改善してきました。また、この10年で急速に普及した携帯電話やモバイルマネーの開発・普及など、最先端のデジタル技術を活用して大きく発展する「リープフロッグ」(カエル跳び)現象が起きています。

一方、新型コロナウイルスはアフリカ大陸にも400万人を超える感染者と10万人を超える死者(2021年4月現在:Africa CDCウェブサイトによる)をもたらし、社会・経済に大きな影響を及ぼしました。一次産品の輸出や観光業の停滞などにより、国家財政や雇用状況が厳しい状況に直面し、また、輸入に依存する医療資機材などの必需品の確保に支障を来しています。

感染症対策や民間企業による社会課題解決を支援

このような状況を踏まえ、JICAは2019年に日本で開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD 7)の重点課題に基づき、「経済」「社会」「平和と安定」の3本柱に沿った取り組みを継続。各国がコロナ禍を乗り越え、復興に向かうためのさまざまな協力を展開しました。

例えば、19カ国以上(2021年4月現在)に検査・防護用などのコロナ対策資機材を供与したほか、緊急的な財政ニーズに対応するための円借款を実施しました。ガーナ野口記念医学研究所(野口研)やケニア中央医学研究所(KEMRI)など、長年感染症対策で協力してきたアフリカ域内の研究拠点と連携して、検査・診断能力の強化にも取り組みました。最も多い時期には、野口研は国内のPCR検査の8割を、KEMRIは5割を実施。両研究所は周辺国の感染症対策人材の育成にも貢献するなど、国内と周辺国のコロナ対策の中核を担っています。

このほか、アフリカの民間企業の活力やイノベーションを生かした取り組みを推進しました。「Project NINJA (Next Innovation with Japan)」を立ち上げ、革新的なビジネスモデルやテクノロジーを生み出すアフリカのスタートアップ企業への支援を19カ国で推進したほか、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を活用したアフリカの開発課題解決策の公募や、デジタル国民IDの利用促進に向けた調査などを行いました。

ガーナ:西アフリカ周辺国から15名の研修員をガーナ野口記念医学研究所に招き、感染症の実験能力強化の研修を実施。各国の新型コロナウイルス対策強化にもつながる協力を進めている

ガーナ野口記念医学研究所のPCR検査実施件数と
国内実施数に占める割合(2020年2月‒2021年5月)

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