地域別概況

中南米


日本と価値観を共有する重要なパートナー

加速するパートナーの危機

中南米地域は、人口約6億人、GDP1.5兆ドル超(ASEANの約2倍)を有し、アマゾン地域に象徴される豊富な自然資源や鉱物資源の存在、また、農業生産の世界的な拠点として重要な地域です。日本とは、自由、民主主義、法の支配などの基本的価値を共有し、世界最大の日系社会の存在もあって、共に課題に取り組むパートナーである地域です。

地域全体の所得レベルは高く、DX(デジタル・トランスフォーメーション)実現に資する取り組みなどについては先進的地域である一方、域内33カ国間や各国内での格差は大きく、2019年のベネスエラ避難民の発生、中米北部の不法移民問題といった政治的な不安定さや、日本も直面する人口の高齢化、自然災害の多発など、多くの課題を抱えています。2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大による死者数は、世界の約30%を占めており、コロナ禍の影響を最も受けている地域でもあります。

イノベーションの推進と「共創」に向けて

JICAは、経済発展のためのインフラ整備、防災・気候変動対策、都市環境問題や格差是正支援などを中南米地域の重点領域とし、横断的視点としてDXやイノベーションの実現・加速に資する協力を推進し、また、その担い手であるスタートアップ企業との連携・協働体制も強化しています。あわせて、これまでの協力関係を生かしたコロナ対策支援を行いながら、コロナ後に向けた新たな事業体系の形成・構築に努めています。

2020年度は、米州開発銀行との連携枠組みによる水・衛生分野、再生可能エネルギー分野でのプロジェクトや、世界銀行と連携した防災プロジェクト、また、中米統合機構(SICA)などの域内開発パートナーとの協働による、環境・流通・ジェンダー・防災などの地域の共通課題に関する取り組みを進めました。社会課題解決のために日本と中南米で企業間連携も含めて共創する環境づくり、米国シンクタンクなどとの連携の推進、またJICAチェアや留学生事業を活用した国を牽引するリーダーとなる人材の育成なども行っています。

コロナ対策や感染拡大下における事業展開に関するウェビナーやオンライン研修も多く実施したほか、日系団体を通じて日系人と周辺住民への支援を行っています。

中米・カリブ地域については事業規模1億円以上の国のみ国名を表記。

ドミニカ共和国:3R(リデュース、リユーズ、リサイクル)に関するワークショップに参加する子どもたち

遠隔セミナー・イベントの開催数と参加者(2020年度)

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