開発効果を高めるパートナーシップ

市民社会との連携

国際協力を日本の文化に

JICAは、日本の市民による国際協力活動を促進・支援し、協働して事業を行うことを「市民参加協力」と位置づけ、「多様なアプローチによる開発への貢献」「国際協力への理解・参加促進」「日本の地域社会への還元」を目指しています。市民参加協力のうち、NGO等や地方自治体との連携事業、ボランティア事業、開発教育支援事業について紹介します。

NGO等との連携

JICAは、NGO等との①対話、②協働事業、③支援を通してパートナーシップの強化に取り組んでいます。

1. 対話

2020年度は、全国規模のNGO-JICA協議会および地域に根差した課題などについて議論を深める地域協議会を開催したほか、特定のテーマについて情報共有を行い、連携の可能性を模索するNGO-JICA勉強会を開催しました。目的に応じて複数の対話の場を設け、連携強化に向けた協議を重ねています。

2. 協働事業

NGO等の知見や経験を生かした開発途上国の経済・社会の開発を目的に、共同で草の根技術協力事業を行っています。2020年度は49件の案件を採択しました。

また、「世界の人びとのためのJICA基金」では、市民や団体の方々の寄附金を活用し、NGO等と協働して実施する事業を10件採択しました。

2020年度は新型コロナウイルスの影響により現地渡航が難しい状況でしたが、事業計画の変更や遠隔での事業実施方法について協議、工夫するなど、柔軟に対応しながら事業を継続しています。

3. 支援

効果的な国際協力活動の推進のために、NGO等向けに組織運営や事業実施の能力強化研修を行うとともに、開発途上国でのNGO等との連携強化に向け、約20カ国にNGO-JICAジャパンデスクを設置しています。

地方自治体との連携

JICAは、開発途上国に役立つだけでなく日本の地域活性化にもつながる協力に取り組んでいます。なかでも特に重要なパートナーとして地方自治体と連携し、草の根技術協力事業「地域活性化特別枠」、国際協力推進員の配置などを通じ、地方自治体や地元産業の海外展開の促進と地域の国際化に努めています。

また、地方自治体と連携協定を結び、地方自治体の国際協力事業やグローバル人材の育成などを支援しています。JICA職員が出向し、開発途上地域での協力事業により得られた知見や経験を活用して、当該地方自治体の課題解決・活性化に貢献しています。

昨今では、地域での外国人の増加やSDGsの推進、東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンの取り組みなどにもJICAのノウハウやネットワークが活用されています。

ベトナム:一斉退避後、国内待機期間を経て、再派遣を果たした海外協力隊員(障害児・者支援)。ボールやかごを使った運動を通して集中力を養う授業を行っている。国内での待機中は、地元で生活している在日ベトナム人の生活サポートや地方創生に取り組み、再派遣後は、同期隊員と協力して現地ベトナムの歌やダンスを取り入れた「感染予防啓発動画」も作成した

JICAボランティア事業

JICAのボランティア事業は、開発途上国の経済・社会の発展や復興のため、高い志を持って自発的に協力しようとする市民の活動を支援するものです。1965年にスタートした青年海外協力隊を中心とするこの歴史ある事業は、日本政府・JICAが行う草の根レベルの国際協力の代表的な事業として広く認知され、相手国から高く評価されています。これまで累計約5万4,000人が顔の見える国際貢献の担い手として、活動に従事しました(2021年3月末現在)。

2020年3月、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、派遣中の全隊員を一時帰国・国内待機させるとともに、新規の派遣も見合わせました。国内での待機中、隊員はオンラインでの途上国支援や再派遣に向けた能力強化、国内の課題解決に取り組みました。特に国内各地での活動は高く評価され、日本社会の国際化と活性化、多文化共生社会の実現に貢献できる貴重な人材を育成、輩出する事業として、改めて期待が寄せられています。

その後、2020年11月のベトナムへの再派遣を皮切りに、2021年3月31日までに14カ国76名の隊員を再派遣/派遣しています。

開発教育

地球ひろば

東京都市ヶ谷の「JICA地球ひろば」、愛知県名古屋市の「なごや地球ひろば」、北海道札幌市の「ほっかいどう地球ひろば」では、「見て、聞いて、さわって」体験できる展示を行っています。国際協力の経験を持つ「地球案内人」から説明を受け、「考え、行動に移す」視点から、開発途上国の現状や地球規模の課題、国際協力を学ぶことができ、イベントやセミナーも数多く開催されています。また、他のJICA国内拠点でも国際協力に関して幅広く情報提供を行っています。

学校現場での開発教育推進

児童・生徒が世界の開発課題と日本との関係を知り、それを自らの問題としてとらえ、主体的に考える力や、解決に向けた取り組みに参加する力を養うため、JICAは開発教育を推進する事業を実施しています。具体的には、地方自治体、学校関係者、NGOと協力して、国際協力出前講座、教員向けの研修やセミナーなどを行っています。

2020年度より施行の新学習指導要領で重視されている「持続可能な社会の創り手」育成の取り組みが進むなか、国際協力の豊富な知見や情報、人材を持つJICAが教育現場に果たし得る役割はより大きくなっています。

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