地域別概況

南アジア


新型コロナ感染拡大に立ち向かう強靭な社会システムを

急激な経済社会状況の悪化

南アジア地域は、人口18億人のうち25歳未満が約半数※1を占めており、産業・消費や労働市場の拡大などから、今後、世界の経済成長の中心となる大きな潜在力を有しています。一方で、世界全体の3分の1に及ぶ絶対的貧困人口(約2.2億人)を抱えており※2、さまざまな格差を是正し、SDGsが目指す包摂的かつ強靭で持続可能な社会づくりへの貢献が求められてきました。現在、コロナ禍により、その必要性が一層浮かび上がってきています。

新型コロナウイルス感染症の流行によって世界経済が失速するなか、南アジア地域の2020年の成長率はマイナス6.7%※3と、世界の他の開発途上国・地域と比較しても著しく大きなダメージを受けました。一時、感染状況は落ち着いたものの、2021年2~3月あたりから、再び爆発的な感染拡大に見舞われ、医療資源のひっ迫と経済停滞などに苦しんでいます。また、流動的な社会・治安情勢や自然災害に対する脆弱性も抱えています。

強靭な社会の構築を協力の中心に

ASEANと中東・アフリカをつなぐ地政学的な要衝である南アジア地域の安定と発展は、世界全体、ひいてはわが国の安定と発展に不可欠です。しかし、上述のとおり、コロナ禍で域内各国の脆弱性がより露わになりました。これら課題に対応できる強靭な社会の構築に向けて、 JICAは「人間の安全保障」と「質の高い成長」の二大ミッションを掲げ、迅速で積極的な協力を展開しています。

2020年度は、保健システムの強化とともに、教育や住環境といった基礎生活分野の改善、経済の再生・雇用の安定、投資環境整備を含む産業競争力強化、域内および他地域との連結性強化、地域の平和と安定・安全の確保に向けた協力などを進めました。また、今後も引き続き、「質の高いインフラパートナーシップ」「自由で開かれたインド太平洋」といった日本政府の重要政策や政府間共同声明の内容・方針などに基づき、各国・国際機関とも協働していきます。

※1 United Nations, “World Population Prospects 2019”
※2 World Bank, “Poverty and Shared Prosperity 2018: Piecing Together the Poverty Puzzle”の データを基に算出。
※3 World Bank, “Global Economic Prospects, January 2021”

インド:感染症予防のため、JICAは手洗いや爪の衛生、正しいマスク着用などに関する「アッチー・アーダト(良い習慣)キャンペーン」を実施中。「正しい手洗い漫画」のヒンディー語吹き替え動画も上映。

資金協力で整備を支援した鉄道・地下鉄の総延長※1
(2005年1月-2021年7月の完工案件)
※1 円借款で整備(土木工事)を行った区間のみ計上。

資金協力で整備を支援した医療施設※2
(2010年9月-2021年7月の完工案件)
※2 資材調達のみの施設も含む。ただしワクチンや薬剤調達のみの施設は非計上。

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