大竹 更(おおたけ あらた)さん

大竹 おおたけ あらたさん

現在のシゴト
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)
スーダン事務所 准プログラムオフィサー
職  種
村落開発普及員(現:コミュニティ開発)
派遣国
モロッコ
派遣期間
2013年3月~2015年7月
  • グローバルキャリア
  • # 国際機関 # UNDP # UNHCR

JICA海外協力隊で切り開いた国際機関への道。
現場での経験と語学力が、自身の強みになった。

2018.06

応募のきっかけ

大竹 更さん

国際コーディネーターとして働く中で芽生えた、JICA海外協力隊への興味。

15歳でイギリスに留学し、約10年間生活しました。大学院卒業後はNGOで国際コーディネーターとして働き、様々な国の現状を知る中で、JICA海外協力隊に興味を持つようになりました。派遣先は、フランス語への関心と、アラブの音楽や雑貨が好きで、アラビア語を学びたいと思っていたことから、フランス語圏かつアラビア語圏のモロッコを希望。念願叶ってモロッコへの派遣が決まりました。派遣前には2ヶ月間フランス語研修があり、現地では3週間、モロッコ方言のアラビア語を学びました。
 

現地での活動

現地メンバーとともに、開発した手工芸品を販売(青年海外協力隊時代)

得意な手芸を生かし、女性たちの収入向上をサポート。
国際協力へのやりがいを感じた。

協力隊では村落開発普及員(現:コミュニティ開発)として、現地のベルベル人に伝わる「ベルベル刺繍」を使った手工芸品の開発と販路拡大に従事。刺繍の色を変えたり、新しい商品を提案したりと、現地の人と一緒に商品を開発し、販売を通じて女性たちが現金収入を得られるようサポートを行いました。
 任期を終えて帰国する際、ある女性から「あなたのおかげで自分たちの商品を開発し、販売し、実際に現金を得られるようになった。いずれは自分たちの会社を作りたい」という言葉をもらいました。一緒に努力した結果、前向きな気持ちになってくれたことがとても嬉しく、自分の好きな手芸を通じて結果を残せたことにも喜びを感じました。

帰国後のキャリア

2018年春より、UNHCRでの活動を開始

帰国後は「JOCV枠UNV制度」(※1)を活用。
UNDP(※2)にて、国際機関でのキャリアをスタート。

任期終了後、「今後も国際協力に関わりたい」と外務省の「JPO(※3)派遣制度」に応募しましたが、結果は不合格でした。開発コンサルティング業界やNGOなど他の選択肢も考えましたが、国連機関に行きたい気持ちを捨てきれず、JICA海外協力隊のOB/OGを対象とした「JOCV枠UNV制度」(※1)を通じてUNV(国連ボランティア)に応募。選考では協力隊での現場経験が評価され、プログラムオフィサーとしてUNDP(国連開発計画)(※2) モロッコ事務所へのUNV派遣が決まりました。
 業務では、協力隊でモロッコ人との接し方を熟知していたことが、プロジェクトの円滑な進行に役立ちました。また、モロッコの国連機関での業務はフランス語ですので、協力隊でフランス語を学んだことが生きました。アフリカはフランス語圏が多く、今後も国際機関で働く上ではフランス語を使えることが重視されます。そのためUNDP(※2)モロッコ赴任中は、語学のレベルアップを自らの課題としました。
 滞在中に再びJPO(※3)に応募し、無事合格。中東かフランス語圏のアフリカを希望し、この春から、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)(※4) のスーダン事務所で働くことになりました。次に行くのは予算・規模ともに大きな事務所で、複雑なオペレーションが求められますので、やりがいがあります。スーダンではアラビア語を学び直し、今後のキャリアに生かすつもりです。協力隊でフランス語とアラビア語に触れていたことが、その先の可能性を広げてくれました。

JICA海外協力隊の活動では、日本から来た隊員が得意の手芸を生かすことで、ベルベル人女性たちの生活を豊かにし、希望を与えることができました。一人の力はわずかですが、小さなアクションが人からコミュニティに広がり、いずれは町や国レベルに広がっていく。そのような活動の一端を担い、目に見える形で国際協力に貢献できた2年間が、心理的にも自分自身のキャリアを方向付けてくれました。
 モノやチャンスがないために可能性を生かせない人たちはたくさんいます。自分がその人たちの助けとなる方法を考えた際、協力隊で行ったように、ポテンシャルを開花させるための手段を提供し、一緒に育てていくことに意義を感じました。これから行くスーダンでも、難民、その中でも女性や子どもといった社会的に弱い立場にいる人が社会的・経済的に自立し、尊厳を持って生活できるよう、職業訓練や雇用、教育支援などに携わることができればと思います。
大竹さんのUNV経験レポートはこちらから
(※1) JOCV枠 UNV制度
青年層のJICA海外協力隊経験者を国連ボランティアとして主に国連機関に派遣する制度。
(※2)UNDP(※United Nations Development Programme) 国連開発計画
国連の開発ネットワークを先導する機関
(※3) JPO(※Junior Professional Officer)
国際公務員を志望する日本の若者に国際機関での勤務の機会を与えることにより、国際公務員に必要とされる経験と知見を養うことを目的として、日本政府の費用負担により最長2年間国際機関に派遣される非正規の専門職員
(※4)UNHCR(※United Nations High Commissioner for Refugees) 国連難民高等弁務官事務所
世界の難民の保護と支援を行なう国連の機関

JICA海外協力隊で得たもの

JICA海外協力隊の2年間はチャレンジが多い環境でしたが、その中でやりきったからこそ「他でもやっていける」という自信と環境への適応力が身につきました。また、協力隊での経験によって、UNDP(※2)やUNHCR(※4)で働く道が拓けました。国際機関への就業においては、JICA海外協力隊として開発途上国で活動した経験が評価されました。

環境に適応する力、国際機関へのキャリアパス

これからJICA海外協力隊を目指すみなさんへのメッセージ

草の根レベルで現地の人たちと一緒に活動したことは、人間的にも豊かな経験でした。人とのコミュニケーションや、ストレス解消、リラックスのためのセルフコントロールなど、言葉では表現しにくいスキルを学びました。興味があったら、まずは挑戦してみること。そこから拓ける道はたくさんあります。どんな道を拓くかは、あなた次第です。

おすすめ記事
記事一覧に戻る