アフリカ地域のSDGs達成を目指して -これまでの3年の歩みとこれからの挑戦-

2019年6月14日

アフリカ地域のSDGs達成への歩みを振り返る国際会議を開催

アフリカ各国のSDGsの進捗とSDGs達成に向けた優先課題を議論するため、アフリカ地域持続的開発目標センター(SDGs Center for Africa:SDGC/A)主催の国際会議“SDGs Implementation in Africa - Reflections on a three-year journey”が、2019年6月12日から14日にかけてルワンダの首都キガリで開催されました。アフリカ域内から28か国、欧米豪アジア地域から14か国、3日間で延べ1,200名が参加しました。

SDGC/Aは、SDGsに関連する事業の準備・実施の促進及びSDGs達成に資する科学技術・知識の動員を目的として、アフリカ地域におけるSDGs推進のために、2015年9月に設立されました。

「誰一人取り残さない-No one will be left behind」を理念とする17の目標と169のターゲットから成るSDGsが2015年9月に国連総会で合意されましたが、アフリカ地域は他の地域と比べて、そのスタート地点から多くのチャレンジを抱えています。SDGs達成に向けて、開発課題が多いだけでなく、それらへの対応に必要な資金やデータも不足しています。このような状況に対して、SDGC/Aはアフリカ地域の現状を評価した報告書「AFRICA 2030 - Sustainable Development Goals Three-Year Reality Check」を作成し、アフリカ地域のSDGs達成に向けたここ3年間の歩みと今後必要なアクションを明らかにしました。

今回の会合には、カガメ・ルワンダ共和国大統領をはじめ、ルング・ザンビア共和国大統領、テイラー・リベリア共和国副大統領といった国家元首や、国連機関、開発援助機関等からの出席があり、白熱した討議が行われました。

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ルワンダ国カガメ大統領(一番前の列の右から6番目)をはじめとする本会合の登壇者

アフリカ国家元首らも参加して議論

6月12日、プレ会合の1日目はSDGsモニタリングと開発銀行の役割をテーマに、アフリカ各国の実務者やドナー等による活発な議論が展開されました。

6月13日、プレ会合の2日目は、アフリカ諸国にとって優先課題である保健、教育、農業の3分野の資金調達に関して、アフリカ各国がオーナーシップを持つ共同基金の設立が提唱され、テイラー・リベリア国副大統領ら参加者の賛同を得ました。

JICAの加藤宏理事がドナー代表としてスピーチを行い、基金の設立はODAのみでは不十分であり、民間資金やアフリカ域内から資金調達が重要であることを指摘し、その実現にあたって、1)資金調達を促進するインセンティブづくり、2)具体的な基金管理の仕組みづくり、3)基金を有効に活用するための戦略づくり、が必要だと発言しました。同会合には、アフリカ域内外からの約350人以上の参加者が集まり、加藤理事を含むパネリストとの間で活発な意見交換が行われました。

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プレ会合で講演する加藤理事

保健、農業、教育の分野毎に分かれた分科会のうち、教育分科会には、エチオピア教育省アドバイザーの宮崎岳JICA専門家がパネリストとして登壇しました。SDGC/Aが設立を提案している「アフリカ初中等教育基金(Primary and Secondary Education Fund:APSEF)」が目指すべき方向性について、宮崎専門家からはJICAの教育支援の事例を交えながら、同基金は1)(他の基金との差別化を図るために)「学び」の向上に特化したものであるべき、2)エビデンスに基づいた効果的な資源配分が必須、3)教育システム全体の改革に資するよう活用されるべき、といった内容の提言がなされました。

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教育分科会のパネル討論で発言する宮崎専門家

最終日の本会合では、報告書「AFRICA 2030 - Sustainable Development Goals Three-Year Reality Check」をもとにパネル討論が行われました。パネリストとして登壇した加藤理事からは、SDGsの達成には貧困の削減と不平等の是正が鍵であること、また、デイビッド・ヘンレイ氏の著書「Asia Africa Development Divergence」を引用しながら農村部における投資が重要であること、が強調されました。

パネル討論に続いて、カガメ・ルワンダ国大統領から「SDGs Three Year Report」が発表され、元首・閣僚級間でアフリカのSDGs進捗にかかる討論が行われました。討論の締め括りとしてカガメ大統領は、アフリカ各国のSDGsの達成を加速化するためには、SDGC/Aが重要な役割を担っている点、また、各国政府の指導者のリーダーシップが重要である点に触れました。

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元首クラスによる討論(右からマハマトAU委員長、テイラー・リベリア国副大統領、カガメ・ルワンダ国大統領、ルング・ザンビア国大統領)

3日間の会議を通して、SDGsを達成すべき2030年に向けて、アフリカ各国が自らオーナーシップを持ちつつ、これまで以上に関連する諸課題に迅速に取り組む必要があることが明らかになりました。JICAは開発援助機関として、アフリカの国々とのパートナーシップの下、各国のオーナーシップを後押しする形で、教育・保健・農業・人材育成等の協力を行ってきました。JICAはSDGC/A等との連携により、これら協力から得られた知見やノウハウを共有しながら、引き続きアフリカ地域各国のSDGsの達成に貢献していきます。

資料

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