事業展開の方向性

人間の安全保障の一層の推進、「質の高い成長」の促進、さまざまな主体との連携の強化など、2015年2月に閣議決定された開発協力大綱などに基づく具体的な事業を展開していきます。

1.「質の高い成長」と格差是正

  • 人間の安全保障の視点を踏まえて、包摂性、持続可能性、強靭性を兼ね備えた「質の高い成長」と、それを通じた貧困撲滅に貢献する支援を推進します。具体的には、格差是正、雇用創出、相手国の自立的発展、防災の主流化、ライフサイクルコストや安全性などの「インフラの質」等を重視して、基礎的な社会サービスの提供、気候変動への緩和・適応策への支援、相手国の自助努力と統治能力の強化につながる人材育成、経済社会インフラの整備などを行います。
  • 「質の高い成長」に日本の経験・知見・技術を生かすために、インフラ輸出の促進、日本方式の国際展開の推進、中小企業等の海外展開支援、海外投融資、官民連携(PPP)インフラ事業、民間連携事業などの事業を一層推進します。
  • 各地域・課題においては、域内・域外との連結性(インフラ、制度、人)、国や課題をまたぐ協力に留意します。
  • 一人当たりの所得が一定以上の水準にあっても著しい国内格差や小島嶼国等の特別な脆弱性を抱える国、ODA卒業国を含む所得水準が比較的高い国に対しても、各国の開発ニーズや負担能力に応じて必要な協力を行います。

2.普遍的価値の共有と平和構築の推進

  • 人間の安全保障の理念に立脚する事業について、特に脆弱な立場にある子ども、女性、障害者、高齢者、難民・国内避難民、少数民族などに焦点を当てます。国際保健外交戦略/ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成支援や食料安全保障への支援など、各分野で具体的な取り組みを検討・展開します。
  • 民主主義や法の支配といった価値観の確立と普及のため、民主化支援等のガバナンス分野の支援や不正腐敗防止等に関する法制度整備を推進します。
  • 平和構築・人道支援は、紛争後の和平合意前段階であっても、可能な限り早急に緊急支援・復興段階から開発段階までを切れ目なく対応していく取り組みを一層強化します。
  • アフガニスタン、イラク、パレスチナ、南スーダン、アフリカの角、サヘル周辺諸国、ミャンマー少数民族支援、フィリピン・ミンダナオ和平の定着、シリア周辺国支援などの平和構築支援について、周辺国を含めた地域全体の安定化の視点で、政治や治安状況などを見極めたうえで適時適切に実施します。

3.地球規模課題・援助潮流への取り組みの強化

  • 2015年が到達年限である現行ミレニアム開発目標(MDGs)の未達成の分野への協力を強化し、現行MDGsへのJICAの貢献を総括して発信します。
  • 持続可能な開発目標(SDGs)等の援助潮流の動きに日本とJICAの知見・経験を活用して対応し、議論の深化に貢献するとともに、具体的な事業展開に反映させます。
  • 気候変動や感染症などの地球規模課題に対して国際社会と共に積極的に取り組みます。感染症については、健康安全保障(Global Health Security)の観点を踏まえ、新興・再興感染症対策のための基盤強化を図ります。
  • 第3回国連防災世界会議の成果の事業への反映に加え、第7回太平洋・島サミット、第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)、第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)などの国際会議に適切に対応します。

4.戦略的パートナーシップの拡大・深化

  • 新たな開発資源の発掘と開発効果の最大化を図るために、民間企業、地方自治体、大学・研究機関、NGO・市民社会、他の公的機関、他ドナー、地域機関、新興国などとの戦略的パートナーシップの拡大・深化を図ります。
  • 日本政府による地方創生の動きを踏まえて、結節点としての国内拠点が日本の地域活性化への貢献を考慮しながら、地方自治体・民間企業などにおける新たなパートナーの発掘に取り組みます。
  • 世界の潮流を踏まえて日本に優位性のある経験・知見・技術を積極的に発信・活用し、事業効果の最大化と援助潮流の形成につなげるために、課題解決力の高い事業モデルを日本ブランドとして整理・発信し、これを活用した事業に取り組みます。
  • 国内外に蓄積された人的ネットワークや戦略的パートナーシップを発展させて、相互学習・相互発展に貢献し、新たな開発パートナーの育成につながる南南協力と三角協力を一層推進します。
  • 青年海外協力隊事業について、50年間の経験と知見を積極的に発信し、グローバル人材の育成や女性の社会進出の場などを含む青年海外協力隊事業の意義を一層深化させます。また、ボランティア事業等を通じて、スポーツを通じた開発への取り組みを強化します。

5.開発途上国における女性の活躍と社会進出支援

  • わが国の開発途上国支援における女性関連施策の国際公約を踏まえて、ジェンダー平等に関する政策・制度支援、女性を主な裨益対象とする案件の形成・実施に取り組みます。あらゆる分野・課題への支援において、ジェンダーの視点を踏まえた質の高い事業の実施に取り組みます。
  • 日本政府が策定中の女性・平和・安全保障に関する国別行動計画の実施・モニタリングに関して、ジェンダー平等と女性の能力向上に加えて、女性の参画・リーダーシップの発揮を念頭に置いた案件の形成・実施に取り組みます。