jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

JICA×読売巨人軍 野球を通じた「スポーツと開発」への取組

#16 平和と公正をすべての人に
SDGs
#5 ジェンダー平等を実現しよう
SDGs
#3 すべての人に健康と福祉を
SDGs

2025.05.23

サムネイル
青年海外協力隊事務局 事業推進・調整課 小川直生

JICAと読売巨人軍は連携して日本式野球の普及や青少年の健全な育成に取り組んでいます。野球の楽しさや魅力を伝えてきた活動に加え、読売巨人軍からのメッセージを紹介します。

1.全世界に派遣されるJICA海外協力隊・野球隊員

JICA海外協力隊は1965年度の初代隊員派遣から2025年で60周年を迎えました。現在、9つの分野で180の職種がありますが、野球を指導科目とする隊員(以下、野球隊員)の派遣は1970年から開始され、これまで全世界に753名(2025年3月31日現在)を派遣してきました。野球隊員は、単に技術を教えるのではありません。大切にするのは、「礼儀」「協調性」「挑戦する心」といった“日本式野球”の精神。グラウンドで育まれるのは、ボールを投げる打つ力だけでなく、人間としての芯の強さでもあります。

隊員による子どもへの野球指導(コロンビア)

2.読売巨人軍との連携で日本式野球の普及へ、野球隊員ともコラボ!

この取り組みに、読売巨人軍(プロ野球チーム、以下「巨人軍」)が賛同してくれたことをきっかけに、2015年、JICAと巨人軍は協定を結び、野球を通じた国際協力に本格的に乗り出し、2022年には改めて協定を結び、女子選手の指導や野球教室を通じた社会啓発活動等も新たに活動内容として加えました。

2015年の連携協定締結以降、巨人軍と連携した活動は世界13カ国18回に広がりました。中南米、アジア、アフリカ――場所は違えども野球を通じて生まれる笑顔に国境はありません。

ニカラグア代表チーム、巨人軍女子チーム、ニカラグア野球連盟会長、マナグア市長(女性)、副市長、中村大使、JICA小谷所長の集合写真

ニカラグアでは、2016年にJICA海外協力隊の野球隊員が立ち上げた女子野球を盛り上げるため、2024年1月、巨人軍の女子チームが訪れ、交流を深めました。当時派遣中の隊員を含め、支援のバトンがつながった瞬間です。JICAと巨人軍の連携は、単なる野球振興にとどまりません。貧困層を含む女子選手への指導、多様性の理解促進、ジェンダー平等の推進等、スポーツを通じた社会への貢献が進んでいます。

2024年12月には、2017年のタンザニアに続いて2度目のアフリカ派遣となるジンバブエでの活動も実施されました。現地の課題――用具不足、指導者の不在、整備が十分でないグラウンド――に直面しながらも、JICA海外協力隊の野球隊員と巨人軍が手を取り合い、野球の技術はもちろんのこと、楽しさや魅力などを伝え、状況に合わせた活動をしています。

バッティングのデモンストレーションの様子(ブラジル)

野球教室参加者との集合写真(ジンバブエ)

3.活動に参加した巨人軍圓谷氏からのメッセージ

この活動に3度(2022年バングラデシュ、2023年ブラジル、2024年ジンバブエ)参加したのが、巨人軍でスカウトを担当する圓谷英俊(つぶらや・ひでとし)さん。自身もかつてプロの野手でした。圓谷さんから活動に参加した感想やスポーツ・野球による国際協力についてコメントをいただきました。

現地の方と交流する圓谷氏(ジンバブエ)

指導にあたる圓谷氏(ジンバブエ)

【圓谷英俊氏(読売巨人軍スカウト、元巨人軍野手)からのコメント】

これまでの活動を通じて感謝の気持ちしかありません。それぞれ異なる大陸での経験は何にも変えられない財産となり、私自身の器を大きくしてくれました。各地の空気、景色、文化に触れる事や、人種を越えた交流には心地よさを感じます。

各国へ行く度にスポーツの持つ力は偉大だと気づかされます。また、日本では野球がメジャースポーツですが、国外に出るとまだまだマイナースポーツだという事を思い知らされます。しかし、野球があまり知られていない国でも、誰かが投げたボールは誰かがキャッチします。グラウンド内の空気はとても平和で、仲間との協調性や礼儀、規律等様々な要素が入り交じる中、プレーヤーはとても輝いた表情を見せます。

野球を通じた国際協力が結果として現れるには長い時間がかかるかもしれませんし、とても間接的なものかもしれませんが、この素晴らしい連携を続けていき、様々な国に野球の素晴らしさを伝えられれば嬉しいです。

4.みんなが等しくスポーツを楽しめる平和な社会の実現を目指して

スポーツには人々を強く惹きつける力があります。それは、スポーツが楽しさや熱狂、感動をもたらすからであり、時にスポーツは生きがいの一つになり得ます。また、スポーツには言語・文化・宗教等背景の違う多様な人々や地域をつなぐ力があります。JICAは、「すべての人々が、スポーツを楽しめる平和な世界」を目指して、これからも「スポーツと開発」分野の事業を推進していきます。

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn