jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

天皇皇后両陛下が帰国した海外協力隊、シニア海外協力隊及び日系社会シニア海外協力隊と御懇談

2025.04.24

帰国した海外協力隊員、シニア海外協力隊員及び日系社会シニア海外協力隊員の代表が3月7日、皇居(御所)において天皇皇后両陛下に御懇談の栄を賜り、派遣国での活動をご報告しました。帰国隊員と両陛下との御懇談は、1965年に青年海外協力隊が発足した当初から今日に至るまで続いています。

今回帰国した隊員は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響を受け、日本への一時帰国や日本国内での待機を余儀なくされながらも、コロナ禍を乗り越えて派遣国での活動に従事しました。

今回両陛下にお目にかかったのはアジア、大洋州、アフリカ、中南米の国々に派遣されていた海外協力隊4名、シニア海外協力隊1名、日系社会シニア海外協力隊員1名です。御懇談に先立ち、JICA本部(東京都千代田区)で田中明彦理事長と面談しました。

【画像】

前列左から髙野さん、田中理事長、勝村さん、小林さん、
後列左から 大塚青年海外協力隊事務局長、上山さん、大石さん、伊藤さん、林理事長室上席秘書

職員の専門性を育成、来館者サービス向上に貢献

上山佳彦さん(ラオス派遣、職種:学芸員、山口県出身)は、首都ビエンチャンにあるラオス国立博物館に配属され、収蔵品の管理・記録技術の向上支援、展示方法や広報にかかる助言等を行いました。具体的には、収蔵庫保管のコレクションの整理、展示方法の改善、来館者向けガイドツアーの企画、Facebookでの情報発信を現地職員とともに行い、職員の専門性の育成と博物館の運営体制の構築に尽力。日本語のパンフレット作成にも取り組み、来館者向けサービスの向上に貢献しました。

【画像】

ラオス国立博物館の職員にコレクション整理の方法を指導する様子

日本語指導を通じ、将来の可能性を広げる

髙野眞也子さん(マレーシア派遣、職種:日本語教育、神奈川県出身)は、首都クアラルンプールにあるマレーシア工科大学のマレーシア日本国際工科院に配属され、日本語教師として、大学院生向けの日本語入門コース、日本語検定コースを担当し、日本語検定試験の合格率向上に貢献しました。また、日本文化紹介イベント等の企画運営、日本で就職を希望する学生の相談を受けるなど、日本語学習者のモチベーション維持を図り、日本語教育にかかる多岐にわたる活動に取り組みました。

【画像】

日本語文化センターにて、かるた大会を実施したときの場面

自動車整備士を育成、授業の質向上に寄与

大石孝さん(ザンビア派遣、職種:自動車整備、愛知県出身)は、首都ルサカにある産業訓練センターに配属され、自動車整備科の教師を対象に技術指導を行いました。ザンビアでは日本の中古自動車が多く輸入されており、近年、電子制御装置を搭載した車両が急増しています。現代の自動車に対応できる整備士を育成するため、教師を対象に故障診断機の使用方法や自動車の故障箇所の特定方法、修理手順を指導。その結果、授業の質が向上し、自動車整備士の人材育成に貢献しました。

【画像】

未来の整備士を育成するため、教師を対象に自動車の故障診断機の使い方を指導する様子

現地の手話を習得、子どもの視点に立った支援に取り組む

勝村貴子さん(ルワンダ派遣、職種:障害児・者支援、茨城県出身)は、首都キガリからバスで2時間のところに位置するカヨンザ盲聾学校に配属され、視覚障害や聴覚障害のある子どもたちの支援に取り組みました。障害に応じた教材教具を作成し、現地教員と共に具体物を多く取り入れた授業を実施。様々な体験ができるよう、日本の学校との交流会や日本文化を体験できる授業を取り入れました。また、現地教員の専門性向上のため点字研修会や触手話研修会を実施し成果を残しました。

【画像】

カヨンザ盲聾学校にて、生徒に現地の手話を用いて個別に授業する様子

呼吸療法を導入、現地の課題解決に貢献

小林かおるさん(パラオ派遣、職種:理学療法士、福島県出身)は、最大都市コロールにあるパラオ唯一の総合病院であるベラウ国立病院のリハビリ科に配属され、呼吸療法の導入を中心に現地スタッフへの技術指導と患者へのリハビリ支援に取り組みました。パラオでは糖尿病が多く、合併症の呼吸障害を抱える患者も多い現状があります。そのため、呼吸療法の導入に向け、スタッフ向けの勉強会を実施。臨床でその技術が利用されるようになりました。また、高齢者支援への提案などにも取り組みました。

【画像】

息切れのある患者に対して、口すぼめ呼吸を指導する様子

日系社会で、野球を通した青少年の育成に尽力

伊藤光隆さん(アルゼンチン派遣、職種:野球、愛知県出身)は、首都ブエノスアイレスから南東約50kmのところに位置する、ラ・プラタ日本人会に配属され、日系三世を中心とした野球部の指導及び指導者の育成に尽力しました。野球技術の向上だけでなく、挨拶の大切さや道具を大切にする習慣、礼儀やマナーを尊重する日本式の野球が選手に浸透し、地域の青少年の健全な育成にも大きく貢献。また、日本語学校の体育授業や教師向けの研修会において講師を務めるなど、幅広く活動に取り組みました。

【画像】

試合中の選手に、120%の実力を発揮できるようアドバイスする様子

御懇談後、参加者からは、「両陛下が熱心に活動報告を聴いてくださったことに感銘を受けた」、「あたたかいお言葉をいただき、今後の大きな励みとなった」などの感想をいただきました。

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ