地球の未来のために、私たちができることは―JICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト2024表彰式開催
2025.03.07
次世代を担う中学生・高校生が世界の問題・課題を知り、日本とのつながりについて理解を深め、どのように行動していくべきかを考える、JICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト。2024度は、「未来の地球のために~ 私たちができること~」のテーマで募集し、中学生の部16,526作品、高校生の部19,676作品、総計36,202作品の応募がありました。「未来のために」という大きなテーマを前に、未来を担う中学生・高校生がグローカルな視点を持ち世界に向けて踏み出した一歩を綴りました。その中から、中学生・高校生合わせて40名の受賞者を対象に、2025年2月15日、東京・市ヶ谷のJICA地球ひろばで表彰式を行いました。
JICA理事長の田中明彦は、受賞者に向け、国際社会と日本のつながりについて、「地球規模で起きている課題」と「多文化共生」という二つの側面で関心を持って欲しいと伝えました。身の回りのことから日本のこと、そして日本にいながら世界のことを「自分ごと」としてとらえる発想、姿勢を持ち続けてほしいとメッセージを送りました。
中学生の部の審査員長である尾木直樹さんは、一人一人の思いが詰まったエッセイを読んで、未来の地球のためにできることに一生懸命に取り組んでいる姿が伝わったこと、また、国際連合の子どもの権利条約において地球環境に関する提言の許可を求める文書があることに触れ、若い力が世界を救う可能性があると述べました。この一歩を糧に今後の発展につなげてほしいと、受賞者や若者への期待を伝えました。
高校生の部の審査員長である星野知子さんは、審査の過程で、活動内容やエッセイの構成などの点数として評価できるもの以外にも「エッセイを書いた人に会いたい」という想いで評価している自分に気づいたと話しました。また、「これからの人生で、自分の書いた作品からたくさんの想いを受け取ってほしい。挫折したときに、自分が一生懸命書いたエッセイに励まされるはず」と受賞者へエールを送りました。
受賞者を代表し、中学生の部、高校生の部で、それぞれ独立行政法人国際協力機構理事長賞を受賞したファウラー姫瑠さん(明治学園中学校・3年)、飯田夕和さん(愛媛大学附属高等学校・3年)が受賞の言葉を述べました。
ファウラー姫瑠さんは、未来の地球のためにできることを模索した中で、誰もが特別なことではなく小さなことでも行動に起こし自分ごとにとらえることで、世界をよりよくできることに気が付いたと述べました。そして世界の課題は遠い話ではなく、一人一人が自分ごととして意識を持つことが大切であると強調し、足りない部分を補い合う社会を作っていきたいと語りました 。
飯田夕和さんは、モザンビークを訪れた経験をもとにエッセイを書いたこと、そして教育が未来を切り開くカギであると語りました。モザンビークの経験で、何一つとして当たり前ではないことを知り、自身が多くの人に支えられて生きていることに気付いたと述べました。また、多くの人と経験や感情を共有し今後も愛をもって人と接していきたいという思いや、教育によって子どもたちの可能性を広げるという夢を熱く語りました。
表彰式後、審査員・来賓の方々との座談会や、難民の避難を疑似体験するゲーム、国際理解ワークショップを実施しました。
座談会では受賞者から審査員へ、一人一人のエッセイの内容に関する質問や、これまでの活動の中で生まれた疑問、進路に思い悩む世代だからこその質問が投げかけられました。普段話す機会のない様々な業種の方からたくさんの助言を得て、座談会後にはとても明るく、次のステップに進む前向きな表情が見受けられました。
次に、「あなたがもし難民になったら」をテーマにした難民の避難を疑似体験するカードゲームが行われました。「災害時の対策は学校で行ったことがあるが、難民になった場合どのようにして逃げたらいいのかわからなかった」「ほかの人がどのように避難したかなどをもっと詳しく知りたい」など、口々に話していました。このゲームで避難を追体験することにより、難民に対する問題意識が高まった様子がうかがえました。
続いて、JICA海外協力隊としてエクアドルで活動したスタッフの話をもとに、同国が直面する課題とその解決策についてグループごとに考えるワークショップが行われました。現地の課題には紛争、難民の受け入れや教育の機会不足などが挙がり、解決策には募金やフェアトレード教育などが挙がりました。遠い国のように感じられたエクアドルでしたが、その国の問題を自分ごとに捉えることで参加者にも新たな視点が生まれた様子でした。
今回の座談会とゲーム・ワークショップを通じて、参加者は開発途上国の現状を学び、国際協力の多様な可能性について考えました。遠いようで身近な世界中に存在する問題解決のために、自身で考え、気付き、行動し、その想いを語る、その背中には大きく明るい未来が広がっていました 。
JICAエッセイコンテスト受賞者の皆様、改めておめでとうございます。そして参加してくださったすべての皆様、心から感謝いたします。2025度のエッセイコンテストは募集テーマを「世界の幸せのために私たちができること~未来へつなげるために~」とし、2025年6月頃の募集開始を予定しています。沢山のご応募お待ちしております。
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