ODAとJICA

開発途上国の社会・経済の開発を支援するため、政府をはじめ、国際機関、NGO、民間企業などさまざまな組織や団体が経済協力を行っています。これらの経済協力のうち、政府が開発途上国に行う資金や技術の協力を政府開発援助(ODA:Official Development Assistance)といい、次に挙げる3要件を備えた政府間ベースの援助が、ODAの定義(経済協力開発機構(OECD)下の開発援助委員会(Development Assistance Committee:DAC)による定義)とされています。

  • 政府または政府機関によって供与されるものであること
  • 開発途上国の経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的としていること
  • 資金協力については、その供与条件のグラント・エレメント(※)が国・機関別の設定基準を満たしていること
    ※グラント・エレメントとは借款条件の緩やかさを示す指数。金利が低く、融資期間が長いほど、グラント・エレメントは高くなり、借入人(開発途上国)にとって有利であることを示します。贈与の場合のグラント・エレメントは100%となります。グラント・エレメントの設定基準は2017年以前はすべての国・機関共通で25%以上、2018年以降は低所得国(LDCs及びその他LICs)45%以上、低中所得国15%以上、高所得国10%以上、マルチ機関10%以上とされています。

ODAは、その形態から、二国間援助、国際機関への出資・拠出(多国間援助)に分けられ、JICAはこのうち二国間援助の形態である技術協力、有償資金協力、無償資金協力を担っています。

3つの援助手法を一体的に担う新JICA誕生の背景

近年、欧米先進国が地球温暖化や貧困削減など地球規模の課題への取り組みを強化するためODAを拡大し、中国などの新興援助国も登場する一方で、日本は厳しい財政事情からODAが縮小されています。

こうした国際的な情勢と、国内の行政改革の流れを受けて、政府はODAの更なる質の向上を目指して、ODA政策の戦略化や実施体制の強化などの改革に取り組んできました。

その一貫として、ODAの実施機関を一元化することになり、国際協力銀行(JBIC)の海外経済協力業務と、外務省の無償資金協力業務(外交政策上、外務省が直接実施するものを除く)が、JICAに承継され、2008年10月1日に新JICAが誕生したのです。

この統合によって、援助の手法を有機的に連携できるようになり、より効果的・効率的な援助が行えるようになりました。

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