パレスチナでは、教育分野を将来の国の礎となる人材育成のための重点分野と位置づけています。ヨルダン川西岸地区では、基礎・中等教育就学者が2002年から2006年の5年間で毎年平均2.6%増加している一方、学校の数の不足や老朽化が課題です。現状では、多くの学校が一般の建物を間借りするか、2部制を敷いて人口増に対応しています。しかし、2部制は授業時間が制限されるため、教育の質向上に対する阻害要因となっています。また、本来教育目的ではない施設では、理科実験室やコンピューター室等が整備されておらずカリキュラムに沿った教育が出来ていません。
こうした状況の下、本プロジェクトではヨルダン川西岸地区で教育の質が改善されることを目標とし、学校建設を行っています。
「ヨルダン川西岸地域学校建設計画」では、教育のアクセス・質の向上を図り、ジェリコ県、ナブルス県、トゥバス県で新たに計5校の学校(約70教室)を建設しました。2011年9月から、新しい5つの学校での授業がスタートしました。
また、2011年9月現在さらに1校の新築、1校の増築を行っており、計7校(約90教室)で毎年約3,400名の生徒が、安心して質の高い教室・設備で教育を受けることが可能となります。
パレスチナでは、2011年はラマダン(断食月)明けの9月から新年度が始まりました。今年完成したジェリコの男子校でも、新しい校舎での授業がスタート。パソコンルームや実験室も用意されています。休み時間には校庭で元気に遊ぶ生徒たちの姿が見られます。
学校で学ぶ15歳のFared(ファリード)君は、以前の学校はとても狭く、勉強もしにくかったと話してくれました。
「この新しい学校は広いし、教室も十分あって、みんな気に入っています。前よりも集中して勉強できるようになりました」。