所長あいさつ

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チュニジアに端を発した「アラブの春」の影響を最も受けた国の一つがシリアです。2011年3月に始まった国民の抗議活動は次第に内戦に発展、外国の介入や過激派組織ISの拡大等により状況は混迷を深めました。約660万人が難民として国外に逃れ、更に「国内避難民」は670万人に上ると言われています(UNHCR)。政府軍や反体制派、その他の武装勢力等による対立により、現在も先の見通せない状況が続いています。

内戦前、JICAは水資源管理、電力、人材育成などの分野で様々な協力を実施し、国造りに貢献していましたが、2011年4月に、安全確保のため邦人職員はヨルダンに移りました。現在はナショナルスタッフがダマスカスの事務所を守っており、将来の復興も念頭に可能な活動を行っています。

またレバノンやヨルダンといった周辺国には多くのシリア難民が滞在しています。彼らを受け入れているホストコミュニティには水供給、医療、教育などの負担がのしかかっていますので、難民に加えて、彼らに対しても様々な支援を実施しています。シリア難民を留学生として日本に受け入れるプログラムも6年目を迎えました。

シリアやシリアの人々にとって困難は暫く続くと予想されます。しかしいつかやって来るであろう平和で繫栄した日々を期待して、引き続き彼らに寄り添っていきたいと思います。

JICAシリア事務所長
涌井純二