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approach

南アジア


地域の安定と発展に向け強靭な社会システムの構築を

経済回復と流動的な経済・社会情勢

南アジア地域は、東南アジアと中東・アフリカをつなぐ地政学的な要衝に位置します。人口は世界の4分の1(約18億人)を占め、うち25歳未満が約半数※1と、消費・労働市場の拡大が著しい地域です。これらの若い力を生かし持続的に経済発展するためには、人材育成やインフラ整備などが必要とされています。一方、世界の絶対的貧困人口の3分の1に及ぶ約2.2億人を抱えており※2、SDGsが目指す包摂的(誰一人取り残さない)かつ強靭で持続可能な社会づくりが求められています。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の波はありましたが、各国は制限の緩和を進め、2021年の地域全体の経済成長率は7%※3となりました。ただし、コロナ禍からの回復途上で世界的な物価上昇の影響を受け、難しい経済運営が続いています。一部の国では経済状況の急速な悪化と社会不安も見られます。さらに気候変動の影響もあり、本地域は自然災害に対する脆弱性も抱えています。

包摂的で強靭な社会の構築を協力の中心に

上記のような課題に対応できる包摂的で強靭な社会の構築に向け、JICAは積極的な協力を迅速に展開しています。

2021年度は、前年度に続きコロナ禍への対応を重視し、ハード・ソフト両面での保健医療サービスの強化、緊急財政支援借款による財政支援などを行いました。また、植林や防災といった気候変動対策も重視し、協力を展開しました。さまざまな協力の手法を柔軟に組み合わせ、インフラ整備、投資環境整備、教育などの基礎生活分野の改善、地域の平和と安全の確保、域内・他地域との連結性強化、留学生受入やJICAチェアを通じた人材育成にも取り組みました。今後もDXにも取り組み、協力をさらに強化します。

また、アフガニスタンに関しては、2021年8月のタリバーンによるカブール制圧以降、JICA関係者(アフガニスタン人)の出国を支援。日本政府の方針を踏まえ、国際機関などとの連携による幅広い人道ニーズに対する支援を継続・検討しています。

なお、2022年は「日本・南西アジア交流年」※4です。各国とのつながりをさらに深めるため、JICAもより積極的に情報を発信していきます。

※1 United Nations, “World Population Prospects 2019”
※2 World Bank, “Poverty and Shared Prosperity 2018: Piecing Together the Poverty Puzzle”のデータを基に算出。
※3 World Bank, “Global Economic Prospects, January 2022”
※4 外交関係樹立70周年(インド、パキスタン、スリランカ)などを記念し、日本政府が定めたもの。
国別事業規模
(注)四捨五入の関係上、合計が一致しないことがあります。 バングラデシュ:3つの大河川のデルタ地域に位置する同国は、洪水の被害を毎年受けており、気候変動による降雨量変化に最も脆弱な国の一つだ。JICAは、低湿地帯(ハオール)で、堤防整備や農業振興など、農民の生計向上に取り組んでいる(ハオール地域洪水対策・生計向上事業)

国際協力機構 年次報告書 2022