パンデミック後の強靭で包摂的な社会経済の構築に向けて
アフリカ諸国は国連加盟国数の4分の1を占めており、国際政治上、重要な役割を担っています。2050年には世界の人口の4人に1人を占め※1、デジタル化の進展により「リープ・フロッグ」が勃興している有望市場としても注目を集めています。
一方、アフリカの社会経済は、コロナ禍による深刻な影響を受けており、マイナス成長に転じました。貧困率も増加しています。加えて、ワクチン接種の遅れなどから、経済復興のペースも遅れ、ウクライナ危機によるアフリカへの負のインパクト(特に食糧不足、物価の高騰)も懸念されています。これらの脅威から脆弱層を守り、アフリカの復興を後押していくことが重要となっています。
JICAは2022年8月開催の第8回アフリカ開発会議(TICAD8)に向けて、「Towards a resilient, inclusive and prosperous Africa」をスローガンに、強靭なアフリカの社会経済構築を目指す、JICAの協力の方向性を示しました。また、「JICA世界保健医療イニシアティブ」による保健分野の協力をはじめ、イノベーションや民間の活力を生かして各分野でコロナ禍による社会的な負の影響を軽減する取り組みを推進しています。
例えば、スタートアップ・エコシステム※2構築のための二国間協力をケニア、エチオピア、ナイジェリア、ルワンダなどで展開するとともに、ウガンダでピッチイベント※3を開催しました。また、アフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)と協働し医療分野のアフリカ企業に対する経営支援に取り組みました。その結果、注射器などの製造を行うケニアの企業が、民間投資家などから約700万ドルの資金を調達し、事業の拡大が実現した事例もあります。
2021年12月には、ウガンダの国会でJICAの長年にわたる同国に対する協力を称える決議が採択されました。これは、人と人のつながりを重視し、アフリカのオーナーシップを尊重するJICAの取り組み姿勢が評価されたものです。
※1 United Nations, “World Population Prospects 2019”国際協力機構 年次報告書 2022