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partnership

大学・研究機関との連携


共に「知」を創造し、
未来のリーダーをつくる

開発途上国の開発課題が多様化・複雑化するなか、国際協力においても、高度な知見を幅広く有する大学・研究機関との連携は不可欠です。JICAは国際協力に関する調査研究や開発途上国における技術協力プロジェクトへの大学・研究機関の参画、また、開発途上国からの留学生受入といったさまざまなアプローチにより連携を強化しています。

JICA開発大学院連携

近代化の経験と開発協力の教訓を提供

日本で学んだ「JICA留学生」※が、母国で親日派・知日派のトップリーダーとして活躍し、ひいては日本と開発途上国の友好関係が中長期的に維持・強化されることを目的として、2021年度末までに日本の94大学にJICA留学生の受入体制(修士・博士課程)を整えました。

「JICA開発大学院連携プログラム」では、 JICA留学生に、欧米とは異なる日本の近代化の経験と、戦後の開発協力の実施国としての知見の両面を学ぶ機会を提供しています。すべてのJICA留学生が参加可能な「日本理解・地域理解プログラム」と、受入大学が日本の開発経験などを授業科目として提供する「各大学におけるプログラム」があります。JICA留学生は、これらを通して、日本の知見・経験を学び、帰国後、自国の発展に生かしています。

2021年度は、日本理解プログラムと地域理解プログラムを積極的に提供し、それぞれ237名、390名の留学生が参加しました。このように、JICA開発大学院連携では、日本の近代化の経験と開発協力の過程で蓄積した教訓を、開発途上国の未来と発展を支えるリーダーに提供しています。

※ここでいうJICA留学生とは、技術協力、無償資金協力「人材育成奨学計画(JDS)」、日系留学生奨学金事業などにより、日本の大学の学位課程に在籍する開発途上国の関係者を指します。

JICA日本研究講座設立支援事業(JICAチェア)

JICA開発大学院連携の海外展開

日本の開発経験を学ぶJICA開発大学院連携を国外にも広げるため、「JICA日本研究講座設立支援事業(JICAチェア)」を実施しています。これは、開発途上国各国のトップクラスの大学などを対象に、開発経験をその背景にある日本の歴史や文化を踏まえて学ぶ「日本研究」の講座設立を支援するものです。

この事業は、①日本からの講師の短期派遣、関連のビデオ教材の提供などを行う「短期集中講義」事業と、②長期連続講座の設置、共同研究、研究者・教育者の日本への受入れなども実施する「日本研究講座設置」事業に分けられます。相手国の実施体制やニーズ、日本側のリソースなどを考慮しつつ、2021年度までにこれらの事業を世界49カ国で実施しました。

各国でのJICAチェアを促進するため、 2021年度は、放送大学と2019年度に共同制作した「日本の近代化を知る7章」の続編「続・日本の近代化を知る」に加え、 JICAが掲げる「JICAグローバル・アジェンダ(課題別事業戦略)」に沿った日本の開発経験に関するビデオ教材を制作しました。

2022年3月には、JICAチェアでは初めて日本の大学から現地へ講師を派遣。特別講義をウガンダのマケレレ大学にて実施し、現地で活発なディスカッションが行われました。

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)

大学・研究機関の研究力を生かす

地球規模での感染症の流行、自然災害や資源問題など深刻化・複雑化する課題について、最新の科学技術によって対策を図る事業がSATREPSです。日本医療研究開発機構、科学技術振興機構と共同し、日本と開発途上国の大学・研究機関が課題解決に向けて国際共同研究を行います。

環境汚染や気候変動、カーボンニュートラル、自然災害、感染症など、研究課題は多岐にわたります。超高密度化する大都市を地震災害から守る研究(バングラデシュ「都市の急激な高密度化に伴う災害脆弱性を克服する技術開発と都市政策への戦略的展開」)、災害後の立ち入り禁止区域の安全かつ有効な土地利用を可能にする研究(ウクライナ「チェルノブイリ災害後の環境管理支援技術の確立」)、海洋プラスチックごみの発生経路や海洋環境への影響を明らかにする研究(タイ「東南アジア海域における海洋プラスチック汚染研究の拠点形成」)など、本事業には日本の研究力が発揮されています。

2021年度は、12カ国の12案件を新規に採択。相手国の大学・研究機関と実施に向けた協議を進めました。また、研究成果を生かして、開発途上国の課題解決への貢献を目指し、社会実装の事例研究やセミナーを研究者向けに実施しています。

SATREPS採択案件数
(2008-2021年度)
ヘッダー写真
ウガンダ:国立マカレレ大学と在ウガンダ日本大使館と共催で、マケレレ大学創立100周年の記念行事の一環としてJICAチェアを実施。世界各国で展開しているJICAチェアで学んだ学生が将来、親日派・知日派リーダーとして母国と日本の関係を中長期的に維持・強化することが期待されている

国際協力機構 年次報告書 2022