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partnership

市民社会との連携


多様なアクターによるきめ細やかな協力を

JICAは、「市民参加協力」として、「日本の市民との連携による開発途上国の開発課題解決への貢献」「市民の国際協力への理解・参加促進」「日本の地域社会へのJICAの国際協力経験の還元」に取り組んでいます。市民参加協力のうち、NGO等や地方自治体との連携事業、開発教育支援事業について紹介します。

NGO等との連携

JICAは、NGO等との「対話」を通じてパートナーシップを強化し、NGO等の「能力強化支援」を行うとともに、NGO等と連携して開発途上国の開発課題を解決するために「協働事業」を実施しています。

1. 対話

目的に応じて複数の対話の場を設けています。2021年度は、全国規模の「NGO-JICA協議会」および各地域に根差した課題などについて議論を深める「地域協議会」を開催したほか、2020年度に続き、特定のテーマについて情報共有を行い、連携の可能性を模索する「NGO-JICA勉強会」を開催しました。

2. 能力強化支援

NGO等向けに組織運営や事業実施の能力強化研修を行い、効果的な国際協力活動の実施を支援しています。また、開発途上国27カ国にNGO-JICAジャパンデスクを設置し、日本のNGO等に対して開発途上国のNGO等に関する情報を提供しています。

3. 協働事業

NGO等の知見や経験を生かした開発途上国の経済・社会の開発を目的に、共同で「草の根技術協力事業」を行っています。2021年度は31件の案件を採択しました。

また、「世界の人びとのためのJICA基金」では、市民や企業・団体の方々の寄附金を活用し、NGO等と協働して実施する事業を16件採択しました。

2021年度も新型コロナウイルス感染症の影響により現地渡航が難しい状況でしたが、オンラインで技術指導を行うなど事業実施方法を工夫しながら事業を継続しています。

地方自治体との連携

JICAは、開発途上国に貢献するだけでなく、日本の地域活性化にもつながる協力に取り組んでいます。特に重要なパートナーが地方自治体です。JICAは地方自治体から提案を受けた事業を開発途上国において協働で実施するほか、全国の地域国際化協会などに「国際協力推進員」を配置し、地域の国際協力活動やグローバル人材の育成を後押ししています。

これらの活動を通じ、地方自治体や地元企業の海外展開の促進、地域の国際化に努めています。また、JICA職員が地方自治体に出向し、開発途上国での協力事業により得られた知見や経験を活用して、当該地方自治体の課題解決に貢献しています。昨今では、地域での外国人との共生やSDGsの推進、東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンの取り組みなどにもJICAのノウハウやネットワークが活用されています。

開発教育

地球ひろば

東京都市ヶ谷の「JICA地球ひろば」、愛知県名古屋市の「なごや地球ひろば」、北海道札幌市の「ほっかいどう地球ひろば」では、「見て、聞いて、さわって」体験できる展示を行っています。国際協力の経験を持つ「地球案内人」から説明を受け、「考え、行動に移す」視点から、開発途上国の現状や地球規模の課題、国際協力を学ぶことができます。

2021年度は、新型コロナウイルスの影響により多くのイベントやセミナーがオンライン開催となったため、遠隔地に住む方々からも多数の参加がありました。他のJICA国内拠点でも国際協力に関して幅広く情報提供を行っています。

学校現場での開発教育推進

児童・生徒が世界の開発課題と日本との関係を知り、それを自らの問題としてとらえ、主体的に考える力や、解決に向けた取り組みに参加する力を養うため、JICAは開発教育を推進しています。具体的には、教育委員会、学校関係者などと協力して、教員向けの研修・セミナー、教材の制作・提供、国際協力出前講座などを行っています。

2020年度より施行の新学習指導要領で重視されている「持続可能な社会の創り手の育成」の取り組みが進むなか、国際協力の豊富な知見と情報・人材を持つJICAが教育現場に果たす役割はますます大きくなっています。

ヘッダー写真
ウガンダ:女子学生が生理中も安心して学校に通学し、基礎教育を最後まで受けられる環境をつくるため、特定非営利活動法人Global Bridge NetworkがJICAとの協働事業を通して、現地NGOと共に繰り返し使用できる生理用布ナプキン作成トレーニングを実施。衛生・性教育、ジェンダーに関する啓発活動も進めている [写真:特定非営利活動法人 Global Bridge Network]

国際協力機構 年次報告書 2022