防災グローバル・プラットフォーム2019の開催

2019年5月17日

5月13日から17日まで、スイスのジュネーブで防災グローバル・プラットフォーム(Global Platform for Disaster Risk Reduction。以下「GPDRR」)2019が開催されました。GPDRRは仙台防災枠組2015-2030の実施促進及びモニタリングを目的に、国連防災機関(United Nations Office for Disaster Risk Reduction。以下「UNDRR」)が2年に一度開催する全世界を対象にした国際会議です。今回の会議には世界170カ国以上の政府関係者や学術、市民社会、民間セクターなど幅広い層から約4,000人が参加(UNDRR発表)しました。日本からは山田賢司外務大臣政務官、中村昭裕内閣府審議官、井戸敏三兵庫県知事、高橋新悦仙台市副市長ら政府関係者をはじめ多くの防災関係者が参加し、パネリストやオフィシャルステートメントに登壇しました。
また、5月13日から14日には、World Reconstruction Conference 4(世界銀行GFDRR主催)やSecond Multi-Hazard Early Warning Conference(WMO主催)等が準備会合として開催されました。

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セッションに登壇する竹谷公男上席国際協力専門員

JICAからは、国内3部署(社会基盤・平和構築部 都市・地域開発グループ、ジェンダー平等・貧困削減推進室、地球環境部防災グループ)、海外4カ国(バングラデシュ、ネパール、グアテマラ、トルコ)から所員及び防災分野の専門家を含む合計14人が参加し、セッションへの登壇等を通じて事業成果の発信や、カウンターパート・ドナー機関と協議を通じた関係構築・強化を行いました。防災グループは本会議においても、一貫して「地方防災計画策定(ターゲット(e))の重要性・緊急性」を主張、発信しました。会議開催の1年近く前からワーキングセッション「National and Local DRR Strategies(Target E)」の企画チームに参画し、セッションシナリオ策定や登壇者の選定に積極的なインプットを行なってきました。その結果、竹谷公男上席国際協力専門員がセッションモデレータとして登壇し、地方防災計画の策定や展開に関する具体的な議論を喚起し、実践的な知見の共有を主導することができました。

また、涌井純二地球環境部次長兼防災グループ長がオフィシャルステートメントに登壇し、JICAの防災協力実績やターゲット(e)達成に係る取り組み事例を発信しました。さらに、昨年のアジア防災閣僚級会議(モンゴル国ウランバートルで開催)でJICAが発表した「地方防災計画の策定及び普及に係る実践指針」のリーフレットを改訂し、上記セッションやオフィシャルステートメント等の機会を通じて宣伝・配布しました。
加えて、全世界から防災関係者が集まる国際会議は、日頃事業を実施しているカウンターパート機関の高官と効率的に協議を行える場でもあります。今回もパートナーシップ強化のため、UNDPやGIZ等のドナー機関や、インドネシア、ミャンマー、ネパール、バングラデシュ、ペルー等の各国防災機関の幹部と個別協議を実施し、各国における今後の防災の進め方や協力の方向性について意見交換を行いました。

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ミャンマー防災副大臣との面談

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インドネシア国家防災庁長官・副長官 副長官との会談

本会議参加にあたっては、各国在外事務所を通じてカウンターパートの参加状況を確認するとともにJICAの参加状況を共有しました。その結果、多くのカウンターパートからバイ面談希望があり、日本及びJICAの防災協力における貢献度や存在感を確認できました。また、フィリピン科学技術省次官、フィジー農業海洋開発省次官等が登壇したセッションやオフィシャルステートメントでは、JICAの防災協力・復興事業に関する内容や謝辞が述べられ、カウンターパート主導でJICAの活動が発信されたことも大きな成果でした。

一方、第3回国連防災世界会議以降、防災が持続可能な開発において不可欠の要素であることが認識され、行政や学会以外の多様なステークホルダーが参画するようになったことで、多くの参加者が仙台防災枠組の要点(各国は防災の一義的な責任を有し、災害リスク削減には政府の事前防災の取り組みが重要)を理解せず、応急対応、早期警報、コミュニティ参加や多様な包摂性の重要性のみを強調・議論する傾向がより顕著になりました。その結果、災害リスクをいかに削減するかという根源的な課題、つまりターゲット(e)達成や防災投資の促進に関する具体的な議論は限定的で、近年その傾向がより顕著になっている印象は否めません。

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本会議場の様子

来年2020年は防災リージョナル・プラットフォームが世界6地域で開催される予定で、アジア大洋州地域においては6月23-26日にオーストラリア・ブリスベンで「アジア大洋州防災閣僚級会議(Asia-Pacific Ministerial Conference on Disaster Risk Reduction:APMCDRR)」の開催が発表されています。2020年はターゲット(e)の目標年であるとともに、仙台防災枠組の第一フェーズの最終年という重要な年です。
JICAは、APMCDRRでも引き続き公式セッションへの関与を継続しつつ、セッション企画段階からの積極的な介入やサイドイベント等のJICA主催による発信、積極的なバイ面談の運営等を行って、国際場裡での発信を強化していきます。