JICAの協力メニュー
JICAは、日本のODAの二国間援助を一元的に担う世界有数の包括的な国際協力機関である。開発途上国が直面する多岐にわたる課題を解決するためにさまざまなメニューを効果的に活用し、世界の150以上の国と地域で年間1兆円を超える規模の事業を展開している。
技術協力
日本の技術・知識・経験を活かして、開発途上国の未来を担う人材の育成や、政策・制度の構築等を支援するもの。途上国の課題・ニーズに応じた専門家の派遣や、日本での研修を実施することで、途上国自身の問題解決能力向上を促していくもの。
円借款
長期返済・低金利という緩やかな融資条件によって、開発途上国が開発への取り組みを実施するうえでの資金を貸し付ける、「有償資金協力」の代表的スキーム。一般的に、多額の資金を要するインフラ開発等に活用されることが多い。「有償資金協力」にはこの他に「海外投融資」があるが、これは下記、「民間連携」の欄で解説。
無償資金協力
所得水準が低い開発途上国を対象に、返済義務を課さずに、社会・経済開発のための資金を提供するもの。学校、病院、井戸、道路といった生活に不可欠な基礎インフラの整備にあてられることが多いが、近年では、平和構築、防災、気候変動対策、政策立案を担う人材育成等に活用されるケースも増えている。
民間連携
JICAの長年の実績によって獲得された開発途上国との信頼関係、ネットワーク、ノウハウ等を最大限に活用し、民間企業との連携によって、より効果的・効率的な開発効果の発現を目指すもの。ここでもJICAは、途上国における開発効果が期待される事業を推進する企業に融資・出資を行う「海外投融資」、民間企業が有する優れた技術や製品と、途上国が抱える課題(開発ニーズ)とのマッチングを支援する「中小企業・SDGsビジネス支援事業」といった、さまざまなスキーム、メニューを用意している。
その他
これらの他にもJICAは、海外で大規模な災害が発生した際にレスキュー隊・医療チームの派遣や物資の供給等を行う「国際緊急援助」、JICA海外協力隊事業等に代表される「市民参加協力」といった多彩なメニューを擁しており、事業の現場においてこれらを臨機応変に組み合わせ、途上国の実情に沿った協力を実現していくことを目指している。