木工隊員の活動と生活 斎藤隊員の場合

2020年1月17日

こんにちは、木工隊員として職業訓練校で活動中の斎藤です。
「任地マロベラの様子」「赴任先の学校と食生活」「活動」について紹介させていただきます。

任地マロベラの様子と食生活

私の任地マロベラは首都ハボロネからバスとコンビ(トヨタのハイエースの座席を改造して15人ぐらい乗れるようにしたミニバス)を乗り継いで7.5時間ほどかかる距離にあります。低木が生い茂るブッシュの中をA31という広くて立派な道が貫き、道沿いにはセメントや土で作られた小さな家々がまばらに広がっているのどかな場所です。「マロベラは天国みたいな所だよ」と私の赴任前に先輩隊員は言っていました。
赴任した後に分かりましたが、マロベラは常に小鳥がさえずり、ヤギが首につけられたベルをコロンコロンと鳴らしながら歩き回り、人々は親切で、蝶が飛び回る、良い意味で天国のように何もなく、リラックスできる場所でした。

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マロベラの風景と近所の子供たち

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マロベラ職業訓練校の正門

隠れた秘境のようなマロベラ暮らしでも、食料や日用品を週に一度は買出しに行かなければなりません。なので私は副校長にお願いして隣町のセビナまで車で連れて行ってもらっています。セビナにはスーパーマーケットが私が赴任する直前にできたので食材や日用品はほとんどのものが手に入ります。ボツワナには中国の方々が多く、首都のチャイナショップで米、味噌、カレールー、日清の出前一丁などの日本人になじみの深い食材が手に入るので、日本食で自炊もできるのがとても嬉しいポイントです。

赴任先の学校と食生活

私の赴任先は「マロベラ職業訓練校」で木工科と自動車整備科、ICT科があり、現在の校生は120人ほどです。生徒の半数ほどが、学校内の寮で暮らし、残り半分は学校周辺の家を間借りしています。大体の生徒は10代後半から20代の生徒です。日本の学校の文化祭の様な「カルチャーデイ」という行事があり、生徒によるコミカルな劇やダンス、歌などが披露され皆で出し物を楽しみます。その時には牛や羊が屠殺され、生徒や職員みんなでセスワと呼ばれる伝統料理を作ります。セスワは三本脚の大鍋を直火にかけて、その中に骨付きの肉、洗われた内臓、塩、水を投入し大きな木の棒で肉を突き崩すように煮込んでいく料理です。こうすることで肉がほぐれ、最後的には肉の塊がほとんどない柔らかな繊維状のものになります。内蔵や骨も一緒に煮込むことで味わいに深いコクがあり、表面に脂をまとった繊維状の柔らかな肉はまさに絶品です!強いて言うならば、馬肉で作られたコンビーフが日本の食材でもっとも食感が近いと思います。

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調理中のセスワ

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セスワ(中央)ボツワナ料理は付け合せも豊富

活動

私は生徒とともに学校の機械や道具の整備や、注文を受けた家具を製作する活動をしています。
私がまず取り組んだのは生徒が使用する道具の管理方法を改善することです。生徒が使用する道具は全て同じ道具箱に収納され、倉庫にしまわれていました。これでは道具が互いにぶつかって刃先が傷む上、重たい道具箱を授業のたびに倉庫から移動させなければならないという問題がありました。そこで作業所の壁に鍵つきの棚を設置して、道具を掛けて管理できるようにしました。

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改善前 道具が互いにぶつかり刃先が損耗している

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改善後 刃先がぶつからないように収納できている

家具製作については、残念ながら生徒はまだまだきれいな仕上がりに対する意識が希薄です。きれいな製品を作ろうとすれば、使用する道具を研ぎ、丁寧に扱い、きちんと管理しなければなりません。すべてはつながっていて、それは人の根底にある姿勢に帰結します。私の意図することが少しでも伝わるように、これからも活動に取り組んでいこうと思います。

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組み立てを行う生徒

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物産展に出展する家具

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棚を取り付ける生徒

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機械で材料をカットする生徒