2019年11月14日
2019年11月13日、14日の二日間に渡り、ルワンダにて、アフリカでは初となる水道分野のトップが集まるJICA主催のフォーラムを開催しました。
本フォーラムの目的は、アフリカ各国の水道事業体のネットワークづくりを促進すること、及び互いの知識や経験、事業の中で得られた教訓などを共有することで、今後の水道事業経営の改善やサービス向上に役立てていこうというものです。
JICAとともにホスト国を務めたルワンダを始め、JICAが協力実施中または実施経験のある英語圏のスーダン、ケニア、タンザニア、マラウイ、ザンビア、南アフリカ共和国、ナイジェリアの計8カ国、14事業体から総裁、CEOら36名が参加しました。さらに、地元メディアや関連企業なども多数来場し、約100名の参加者とともにアフリカの水道問題について考えました。
初日のプログラムでは、JICAより「水道料金」「効率性向上」「資金調達」の3つの視点から、水道事業経営の持続性向上に向けたアジアでの取り組み事例を共有するとともに、参加国ごとにプレゼンテーションを実施し、これまでの事業体活動の成果を紹介し合いました。水道事業体の使命は安全な水を使いやすい形で顧客に届けることですが、国や地域が違えば環境や状況、事業体のレベル、抱えている課題は異なります。さらに、同じ課題でもそれに対する解決アプローチの成功例も様々です。例えば、浄水場で生産した水が顧客へ適切に届かないという課題に対して、水道配管の更新によって漏水を低減させる取り組みを発表する事業体もあれば、地域住民に広報を行って節水促進や配管の違法接続低減を試みている事業体もあり、非常にバラエティに富んだ発表となりました。聴衆からは質問や発表へのコメントが飛び交い、参加者が互いの事業活動内容について興味があり、学び合いたいという気持ちが強いことがよく伝わってきました。プレゼン発表後の懇親の場では、和やかな雰囲気の中で、より一層参加者間の仲が打ち解けていきました。
二日目の午前中は参加者全体が5つのグループに分かれ、財務や人材育成など、それぞれのグループに振り分けられたテーマに沿ってグループディスカッションを行いました。各テーマには予め議論の核となるキークエスチョンが設定されており、それに基づいて議論が進められました。開始当初はどのグループも参加者の発言が控えめでしたが、時間が経つにつれて議論が白熱するとともに参加者同士も打ち解け合い、ディスカッションが終わる頃にはグループ同士で連絡先を交換し合い、SNSのグループを作るまでになっていました。
午後はルワンダ国内の浄水場の建設現場を視察し、フォーラムは閉会を迎えました。
参加者からは、「色々な事業体と知識や役立つ経験の情報交換ができて本当に嬉しい」「とても良い刺激になった。他の参加者からアイデアを聞いて、自事業体の改善のためのヒントが得られた」といった声が聞かれ、「次回はぜひ我が国で開催したい」などの感想もいただきました。
また各水道事業体幹部とともに各国から参加した技術協力プロジェクト専門家に対しても「あなたがいつも言うとおりだった。他国のように我々はもっと努力、改善しなければならない」と、比べあうことで得られた気づきを述べる参加者もいました。
今回のフォーラムでは、冒頭の目的、つまり「水道事業体のネットワークづくり」そして「知識や経験、事業の中で得られた教訓などの共有」という2つが達成されましたが、本フォーラムの真の目的はまだ先にあります。常にサービスの向上を目指すことが求められる水道事業経営において、今回得られたものが今後目に見える形で効果として現れ、そして地域住民の生活向上に貢献してこそ、本フォーラムの真価と言えます。
また、本フォーラムはアフリカの事業体同士の新しいつながりのスタート地点です。これをきっかけに、これからも続く水道事業体のチャレンジへの一助となり続けるよう、1カ国単位で行う技術協力、有償資金協力、無償資金協力といった従来型の協力に留まらない形で、JICAは引き続き「水道ファミリー」を支援していきます。