JICA海外協力隊員による「ボランティアならではの自発的な」グループ活動-特別支援学校における算数教育ワークショップの開催-

2022年5月16日

「数字と、具体的なモノとの結びつきの大切さがわかった。」
「障害のある子どもたちも、数字を学ぶときは健常人と同じプロセスを辿ることがわかった。」
「もっと指導方法について学びたい。」

JICAは、ナミビアの産業基盤を強化するために、人材の基礎的な算数能力向上を目指すJICA海外協力隊員(以下「隊員」と記載)を初等教育現場へ派遣しています。現在、小学校に計6名、特別支援学校に1名、州教育事務所(日本の教育委員会に相当)に1名の隊員が派遣されて精力的に協力活動を行っています。

隊員たちは、算数教育の基礎となる「数の概念形成」と、特別支援教育における「ことば・かず」の初歩段階が似通っていることに着目し、普通校と特別支援学校との協力・連携体制の確立と、ナミビアの算数教育の底上げに貢献したいと考えました。そこで今般、上述の隊員8名が協力してグループ研修を開催することとなり、2022年4月27日~28日の二日間、首都ウイントフックにある「モーレソン特別支援学校」(大久保雅弘隊員の配属先)で同校の現地教員を対象にしたワークショップを開催しました。

ワークショップ初日は、まず、1)現地教員が行う特別支援学校の授業を隊員が視察、その後、2)隊員が現地教員へ算数教育の基礎や実践的かつ効果的な指導方法、指導計画、授業改善の方法についてプレゼンテーションを実施、最後に、3)参加者が3グループに分かれて翌日の授業実践に向けて話し合いました。二日目は、グループごとに各クラスで算数の授業を行い、その後、各グループそして全体で実践内容の共有、そしてより効果的な指導方法についてディスカッションを行いました。

冒頭の現地教員たちからの声から分かるように、特別支援学校の現地教員と隊員たちが交流し、互いの専門性を共有することで、学びのあるワークショップとなったようです。参加隊員たちから提出された実施報告書も大変興味深いもので、関心がある方々には是非とも内容を一読いただきたいと感じます。JICAナミビア支所は、これからも隊員たちの「分科会活動」やグループ活動を応援し、各隊員がそれぞれの配属先に閉じこもるのではなく「様々な現場の実情」を知り、「広い視野」をもってナミビアの人材育成に寄与していって欲しいと願っています。

最後に、隊員たちを代表して、大久保隊員からの感想を紹介します。
「1日目に観察とグループディスカッションで課題を挙げ、2日目に実践とフィードバックを行い、改善を図るというこの形は、隊員の専門性を効率的に伝えることができると感じた。今後もこの形を一つのパッケージとして他の学校にも応用していきたい。」

(JICAナミビア支所)

【画像】

数の概念についてのプレゼンテーションを行う協力隊員