パレスチナでは、近年エネルギー需要が高まる一方でエネルギー資源を輸入に頼っており、エネルギー開発が喫緊の要件となっています。また、気候変動対策の一環として、2007年に策定されたエネルギー関連の5カ年計画(2007〜2012)では、クリーンエネルギーの利用割合を需要の20%まで高めることや、エネルギー利用の改善により輸入エネルギーへの依存度を下げることが目標とされています。
このような背景から、太陽光発電設備の運用を通し、国内の再生可能エネルギーの利用比率が高まり、より安定的な電力供給が実現するとともに、CO2の排出量削減にも寄与することを目的として、太陽光発電システムの機材整備が「環境プログラム無償資金協力」事業により実施されることになりました。
発電設備の場所は、死海から北へ約8km離れたジェリコ市郊外の「ジェリコ農産加工団地(JAIP)」。この団地に電力供給を行います。ただし、JAIPの操業開始が2012年末以降と想定されることから、当面は発電される電力をエルサレム地区電力会社が管理する既存配電網に供給する(系統連携)形態で、ジェリコ市の電力ニーズの一部を補完する予定です。
このプロジェクトが、国際機関との気候変動対策での協調やクリーン開発メカニズム(CDM)プロジェクトの実施等へと繋がる一歩となることが期待されています。
ジェリコ農産加工団地(JAIP)に2012年7月に完成した太陽光発電施設は、西岸地区では初の本格的な太陽光発電施設であり、すべての電力を輸入に依存している西岸地区では初の大型発電施設でもある。発電された電力はJAIPにも供給される予定。新しい試みであり、中東地域におけるスマート工業団地のモデルになればとの期待もある。