2006年7月、我が国政府は「平和と繁栄の回廊」構想(外務省ホームページ)を提唱しました。この構想は、イスラエル・パレスチナ間の和平には「二国家解決」の実現が重要との前提に立ち、イスラエル、ヨルダン等近隣諸国とも協力した、持続的な経済開発を伴う健全なパレスチナ国家の樹立が不可欠である、との考え方から提案されたものです。
パレスチナの持続的な経済開発のためには民間セクターが主要な役割を果たすとの考えから「平和と繁栄の回廊」構想を具現化する取り組みの一つである、ジェリコ地域における農産加工団地(JAIP)の開発をJICAは支援しています。また回廊構想の一環として、パレスチナの豊富な観光資源を最大限活かす「観光回廊」の開発についても関係国と協力しながら推進しています。
ジェリコ及び周辺のヨルダン渓谷を中心として生産が盛んな農作物を加工し、付加価値を付けて隣国ヨルダンを経由して輸出、あるいはパレスチナ内に出荷することなどを目指し、ジェリコ市郊外に農産加工団地を開発しています。農産加工団地の実現にあたっては、パレスチナ、イスラエル、ヨルダン、そして日本の4者が協議しながら進めることや、農産加工品の輸出によりパレスチナと他国間での流通活性化を目指すことを通じ、パレスチナの経済のみならず、他国との信頼醸成、ひいては平和構築を促して行くことが期待されます。
まずはステージ1として14.5ヘクタールの敷地の開発がおこなわれておりJICAは下に挙げる協力を実施しています。さらに、これらの協力が他の日本政府が実施する様々な協力とも連携しつつ、ジェリコ地域の面的な開発へと繋がることを目指しています。「観光回廊」についても、パレスチナのみならずイスラエルやヨルダンの観光スポットを結ぶ周遊ツアーの開発を検討しています。
ジェリコ農産加工団地を管理・監督する、パレスチナ工業団地フリーゾーン庁(PIEFZA)の能力強化を目的とする技術協力プロジェクトです。
将来的にジェリコ市民に加えて農産加工団地からの排水を処理する予定です。
発電した電力を農産加工団地に供給する予定です。
ジェリコ農産加工団地の基本計画を策定したフィージビリティ調査です。
以上に加えて、日本政府は国際連合開発計画(UNDP)を通じて、農産加工団地からジェリコ市街へとつながる道路の改修、ステージ1用土地の造成、上水施設の改善・設置を実施してきています。