8.<林業プロジェクト>の環境チェックリスト

項目問題点(および主な対策)左記問題点に対する検討状況
1.自然環境問題
(1)大気汚染
焼却炉、林産加工工程等から排出される硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、媒塵等大気汚染物質は、当該国の排出基準、環境基準を満足するか。
  
(2)排水
製材所等から排出されるBOD、COD、SS濃度の高い排水は、当該国の排水基準、環境基準を満足するか。
  
(3)廃棄物
木くず、林産加工処理用化学物質等の廃棄物の処理・処分方法は慎重に検討されているか。また、廃棄物は当該国の基準を満足するか。
  
(4)化学処理
林産加工等に用いられる有害化学物質の処理・処分方法は慎重に検討されているか。また、これらの有害物質の排出は当該国の基準を満足するか。
  
(5)基準
上記の項目にかかわる当該国の基準は国際的に妥当な内容と判断されるか。また、借入国において、現在規制が確立されていない項目については当該国以外(日本における経験も含めて)での実状も踏まえた上で検討しているか。
  
(6)土壌浸食・表土流出
伐採の実施、林道の建設により、降雨時に表土が流出し、周辺の植生、農林業、表流水に影響を与える恐れはないか。
  
(7)水象
港湾施設、橋梁、林道等の建設に伴う水象への影響が慎重に検討されているか。また、適切な対応策が検討されているか。
  
(8)土壌汚染
サイトの土壌は、過去に汚染されたことがないか。また、将来とも土壌を汚染しない対策がなされているか。
  
(9)気象災害
プロジェクトの実施により、土の保水力低下による干害、集中豪雨時の土石流等の気象災害を引き起こす恐れはないか。
  
(10)水利用
本プロジェクトによる水利用(海水、淡水、地下水)が海や河川の環境、漁業及び地域住民の水利用に悪影響を及ぼす恐れはないか。
  
(11)生態系
イ.
プロジェクトサイトには野生生物、植物及び水生生物の保護地域、自然公園等の保護対象域が含まれているか。
ロ.
プロジェクトの建設に伴い、貴重な動植物に及ぼす影響が検討されているか。また、適切な対応策が検討されているか。
ハ.
プロジェクトの建設に伴い、動植物の生息環境に及ぼす影響が検討されているか、また、適切な対応策が検討されているか。
ニ.
特殊な樹種の植栽に伴い、特殊な病虫害を引き起こす可能性について検討されているか、また、適切な対応策が検討されているか。
  
(12)景観
景観への悪影響は予想されるか。
  
(13)工事中の影響
工事中の騒音、振動、濁水、粉塵、排ガス等の低減対策は充分配慮されているか。また、工事により環境へ悪影響を及ぼす恐れはないか。
  
2.社会環境問題
(1)住民への配慮、NGO
移転を余儀なくされる住民及び周辺住民への説明がなされ、かつ(女性等を含む)住民の同意は得られているか。また、住民に対する正当な補償、移転後の生活基盤の確保等その影響を最小限とする努力がなされているか。NGO(当該国内、海外)の動向はどうか。
  
(2)地域開発
未開発地域に道路、港湾施設等を建設する場合、新たな地域開発により、地域住民の生活が大きな影響を受ける恐れはあるか。
  
(3)資源保護
持続可能な林業資源開発計画が立てられているか。
  
(4)不法な侵害への対応
林業資源における不法な侵害に対して、適切な対応策は検討されているか。
  
3.モニタリング
 
具体的にどのようなモニタリング計画を有しているか。当該計画は適切なものと判断されるか。下記ポイントで言及した留意事項につき、十分なモニタリング計画を有しているか。
  
4.ポイント
 
林業プロジェクトにおいては、「1. 自然環境問題の(6)(11)の土壌浸食・表土流出、生態系」は、大きな問題を引き起こす可能性がある。また、「2. 社会環境問題」の種族・部族、宗教・祭祀等に対する影響についても十分な配慮が必要である。