11.<空港プロジェクト>の環境チェックリスト

項目問題点(および主な対策)左記問題点に対する検討状況
1.自然環境問題
(1)大気汚染
航空機、関連車両、関連施設等から排出される硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、煤塵等大気汚染物質は、当該国の排出基準、環境基準を満足するか。
  
(2)排水
イ.
空港関連施設からの一般排水が周辺に影響を及ぼさないよう、適切に計画されているか。
ロ.
有害物質が周辺水域に流出しないよう、適切な対応策が検討されているか。
  
(3)廃棄物
一般廃棄物および貨物施設からの廃棄物の処理処分方法は慎重に検討されているか。また、廃棄物は当該国の基準を満足するか。
  
(4)騒音・振動
イ.
航空機騒音、関連車両の走行による騒音・振動は当該国の基準を満足するか。
ロ.
航空機騒音、関連車両の走行による騒音・振動により周辺の住民及び野生生物に影響を及ぼす恐れはないか。
  
(5)基準
上記の項目にかかわる当該国の基準は国際的に妥当な内容と判断されるか。また、借入国において、現在規制が確立されていない項目については当該国以外(日本における経験も含めて)での実状も踏まえた上で検討しているか。
  
(6)悪臭
燃料等による悪臭の影響とその対策は検討されているか。
  
(7)地形・地質
イ.
広範囲の造成に伴い、計画地周辺の地形・地質構造が改変される恐れはないか。また、盛土、切土等地山の改変は、土壌流失、地山の安定、法面保護を考慮して計画されているか。
ロ.
大規模な切土により土量バランスが崩れ、地盤の陥没や隆起等が発生する恐れがあるか。
ハ.
沿岸部では、海岸侵食や堆積が発生し、海岸地形や植生に影響を及ぼす恐れはないか。
  
(8)事故防止対策
危険物等につき充分な事故防止対策(防止設備の設置、防止管理体制の整備)が取られることになっているか。また、事故発生時の応急措置についても充分な検討がなされているか。
  
(9)土壌汚染
サイトの土壌は、過去に汚染されたことがないか。また、将来とも土壌を汚染しない対策がなされているか。
  
(10)水象
空港施設および関連施設建設に伴う地下水、表流水、海水の流況変化等水象への影響が慎重に検討されているか。また、適切な対応策が検討されているか。
  
(11)生態系
イ.
プロジェクトサイトには野生生物、植物及びサンゴ礁・マングローブ等の水生生物の保護地域、自然公園等の保護対象域が含まれているか。
ロ.
プロジェクトの建設に伴い、貴重な動植物に及ぼす影響が検討されているか。また、適切な対応策が検討されているか。
ハ.
プロジェクトの建設に伴い、動植物の生息環境に及ぼす影響が検討されているか。また、適切な対応策が検討されているか。
  
(12)景観
景観への悪影響は予想されるか。
  
(13)日照阻害、電波障害
関連施設及び構造物により、日照阻害、電波障害が発生する恐れはあるか。
  
(14)工事中の影響
工事中の騒音、振動、濁水、粉塵、排ガス等の低減対策は充分配慮されているか。また、工事により環境へ悪影響を及ぼす恐れはないか。
  
2.社会環境問題
(1)住民への配慮、NGO
移転を余儀なくされる住民及び周辺住民への説明がなされ、かつ(女性等を含む)住民の同意は得られているか。また、住民に対する正当な補償、移転後の生活基盤の確保等その影響を最小限とする努力がなされているか。NGO(当該国内、海外)の動向はどうか。
  
(2)地域開発
未開発地域に空港施設を建設する場合、新たな地域開発により、地域住民の生活が大きな影響を受ける恐れはあるか。
  
(3)農林水産業
農地、森林、漁場が消滅する場合、農林水産業への影響が慎重に検討されているか。また、適切な対応策が検討されているか。
  
(4)景観
プロジェクトの建設による景観への影響が検討されているか。
  
(5)文化遺産
プロジェクトは歴史的、文化的、宗教的に貴重な遺産、史跡などを損なう可能性があるか。
  
(6)災害(リスク)
イ.
有害危険物の貯蔵・管理について適切な配慮がなされているか。
ロ.
航空機の運航に際しては、安全面への充分な検討がなされているか。
ハ.
災害発生時に備えた対策は、充分検討されているか。
ニ.
災害時の損害賠償や補償に対する責任機関が明確にされているか。
  
3.モニタリング
 
具体的にどのようなモニタリング計画を有しているか。当該計画は適切なものと判断されるか。下記ポイントで言及した留意事項につき、十分なモニタリング計画を有しているか。
  
4.ポイント
 
空港プロジェクトにおいては、「1. 自然環境問題の(1)(4)の大気汚染、騒音・振動」等は、大きな環境問題を引き起こす可能性がある。また、「2. 社会環境問題」についても充分な配慮が必要である。