12.<港湾プロジェクト>の環境チェックリスト

項目問題点(および主な対策)左記問題点に対する検討状況
1.自然環境問題
(1)大気汚染
船舶・車輌・付帯設備等から排出される硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、媒塵等大気汚染物質は、当該国の排出基準、環境基準を満足するか。
   
(2)水質
イ.
防波堤等の建設により、水域の閉鎖性が増大し、港湾内の水質の悪化をまねく恐れはないか。
ロ.
関連施設からの一般排水が周辺水域に影響を及ぼすことがないよう、適切な対策が検討されているか。
ハ.
有害物質が周辺水域に流出・排出しないよう、適切な対応策が検討されているか。
ニ.
水際線の変更、既存水面の消滅、新規水面の創出等によって、海水交換率の低下等(海水循環が悪くなる)が発生し水温の変化を引き起こす恐れがないか。
ホ.
船舶・付帯設備等からの排水は、当該国の排出基準、環境基準を満足するか。
   
(3)底質
イ.
船舶からの排出による底質汚染等に対して適切な対応策が検討されているか。
ロ.
関連施設からの廃棄物、浚渫土・沖捨土の投棄が周辺水域の底質に影響を及ぼすことがないよう、適切な対策が検討されているか。
ハ.
有害物質が周辺水域に流出・排出されないよう、適切な対応策が検討されているか。
ニ.
関連施設の廃棄物及び投棄土砂は、当該国の排出基準、環境基準を満足するか。
   
(4)騒音、振動
騒音、振動は当該国の基準を満足するか。
   
(5)基準
上記の項目にかかわる当該国の基準は国際的に妥当な内容と判断されるか。また、借入国において、現在規制が確立されていない項目については当該国以外(日本における経験も含めて)での実状も踏まえた上で検討しているか。
   
(6)悪臭
悪臭の影響とその対策は検討されているか。
   
(7)地形・地質
イ.
広範囲の造成に伴い、計画地周辺の地形・地質構造が改変される恐れはないか。また、盛土、切り土等地山の改変は、地山の安定を考慮して計画されているか。
ロ.
漂砂、干潟等の環境に影響を及ぼす恐れはないか。
ハ.
広範囲の造成に伴い、地盤沈下を引き起こさないか。
ニ.
埋立工に伴う地下水への影響はないか。
   
(8)事故防止対策
危険物等につき充分な事故防止対策(防止設備の設置、防止管理体制の整備)が取られることになっているか。また、事故発生時の応急措置についても充分な検討がなされているか。
   
(9)水象
港湾施設の建設により、波浪、潮流、河川水流に影響を及ぼさないか。
   
(10)生態系
イ.
プロジェクトサイトは野生生物、植物及び水生生物の貴重な生息地を含むか。
ロ.
陸生生物に及ぼす影響が検討されているか。また、適切な対策が検討されているか。
ハ.
サンゴ礁・マングローブ等の水生生物に及ぼす影響が検討されているか。また、適切な対応策が検討されているか。
ニ.
特に港湾施設の建設に伴い、干潟の既存鳥類に及ぼす影響を検討されているか、また、適切な対応策が検討されているか。
ホ.
特に水生生物を餌とする動物への影響が検討されているか、また、適切な対応策が検討されているか。
   
(11)景観
景観への悪影響は予想されるか。
   
(12)工事中の影響
工事中の騒音、振動、濁水、粉塵、排ガス等の低減対策は充分配慮されているか。また、工事により環境へ悪影響を及ぼす恐れはないか。
   
2.社会環境問題
(1)住民への配慮、NGO
移転を余儀なくされる住民及び周辺住民への説明がなされ、かつ(女性等を含む)住民の同意は得られているか。また、住民に対する正当な補償、移転後の生活基盤の確保等その影響を最小限とする努力がなされているか。NGO(当該国内、海外)の動向はどうか。
   
(2)漁業
漁業への悪影響は予想されるか。
   
(3)レクリエーション
プロジェクトの建設によるレクリエーションへの影響が検討されているか。
   
(4)文化遺産
プロジェクトは歴史的、文化的、宗教的に貴重な遺産、史跡等を損なう可能性があるか。
   
3.モニタリング
 
具体的にどのようなモニタリング計画を有しているか。当該計画は適切なものと判断されるか。下記ポイントで言及した留意事項につき、十分なモニタリング計画を有しているか。
   
4.ポイント
 
港湾プロジェクトにおいては、「1. 自然環境問題の(2)(3)(7)(10)の水質、底質、地質・地形、生態系」は、大きな問題を引き起こす可能性がある。