スーダン向け地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)討議議事録の署名:乾燥・高温に強く持続的に生産可能なコムギ品種の開発と普及に関する研究を支援

2019年4月1日

国際協力機構(JICA)は、3月31日、ハルツームにて、スーダン共和国政府との間で、地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)(注1)「スーダンおよびサブサハラアフリカの乾燥・高温農業生態系において持続的にコムギを生産するための革新的な気候変動耐性技術の開発プロジェクト」に関する討議議事録(Record of Discussions: R/D)に署名しました。

コムギはスーダンの主食の一つですが、人口増加と都市化にともない、1970年代から2010年代の間に、消費量が10倍に増加しました。一方で、生産量は2倍しか増加しておらず、輸入量は約10倍となり、コムギの自給率は50%から16%に低下し、年間約4億ドルの外貨をコムギの輸入に費やしています。
このため、同国政府はコムギを「最重要戦略的食料作物」として位置づけ収量・生産量の増大を目指しています。収量の増加と同時に、高温、乾燥等の高ストレス環境下において農地を拡大し、コムギ栽培を行うことが求められます。
こうした状況を踏まえ、本事業は、これまで鳥取大学がスーダン農業研究機構と共同開発してきたストレス耐性のコムギを実験材料として活用し、高温・乾燥耐性コムギ品種の開発と普及を目指すものです。

(注1) 地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS:Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)とは、環境・エネルギー、生物資源、防災および感染症等をはじめとする地球規模課題に対応し、開発途上国の自立的、持続的な発展を支えるため、日本と開発途上国の大学・研究機関等が連携し、新たな技術の開発・応用や新しい科学的知見獲得のための共同研究を実施するものです。これにより、課題解決を進めるとともに、開発途上国の大学・研究機関等の研究水準の向上と総合的な対処能力の強化を行うことを目指しています。

案件の詳細は以下の通りです。

【案件基礎情報】
国名:スーダン共和国
案件名:スーダンおよびサブサハラアフリカの乾燥・高温農業生態系において持続的にコムギを生産するための革新的な気候変動耐性技術の開発プロジェクト
実施予定期間:2019年4月から2024年3月を予定(計60ヵ月)
実施機関:農業研究機構コムギ研究プログラム
関連機関:スーダン農業・森林省、スーダン気象庁
対象地域:ゲジラ州ワドメダニ、カッサラ州ニューハルファ、北部州ドンゴラ、フダイバ
国内協力機関:鳥取大学、宇都宮大学
具体的事業内容:
(1)分子育種技術を用いた高温・乾燥に耐えるコムギの開発
(2)高温・乾燥ストレスがコムギの品質に与える影響の調査
(3)コムギが高温や乾燥に耐性えるメカニズムの生理的解明
(4)将来の気候変動下でのコムギ生産予想シナリオの作成
(5)新品種の育種と農家への普及ができる人材と施設の開発