ラオス政府と香川県の農業生産法人と連携し新たな実証事業を開始：途上国の農業振興と日本の外国人材受け入れ促進～win-winの関係づくりを目指して～

国際協力機構（JICA）は、10月25日、ラオス農業森林省、香川県ファーマーズ協同組合と「持続的農業開発にかかるシェンクワン—香川県—JICA連携プログラム」に関する覚書に署名しました。署名は、ラオス農業森林省コンケオ農村開発・協同組合局長、近藤隆ファーマーズ協同組合理事長と、宍戸健一JICA上級審議役との間で行われました。

JICAは、途上国の経済及び社会開発への貢献に加え、日本の諸課題の解決にも貢献できる様々な新しい取り組みを行っています。具体的には、我が国の人手不足が深刻な産業分野において、外国人材の受入が推進されるなか、外国人材の現地での人材育成、帰国した外国人材と日本のビジネス展開との連携等を行っています。

2019年9月からは「東南アジア地域地方創生とODAとの連携の可能性に係る情報収集・確認調査」を開始し、特に農業分野を中心として、技能実習生などを送り出す「途上国の農村」と技能実習生などを受け入れる「日本の地域」の双方が共に持続的に発展・共存するための好事例や現状の課題についての調査を行っています。

今回の実証事業では、国内でも先進的な取り組みを行っている香川県のファーマーズ共同組合（注）と連携し、同法人が技能実習生を受け入れているラオスのシェンクワン県において、果樹・野菜の生産・販売を支援し、低所得者層の生計向上を目指します。これは同法人がこれまで実施してきた活動を、JICAとの連携を通じてラオス農業森林省の協力も得ながら拡充するものです。加えて、香川県での技能実習生の受け入れ環境改善への貢献や、本事業に関する助言のため、香川県内の民間企業、NPOなど様々な関係者が本事業に参画し、オール香川による取り組みが予定されています。

署名に先立ち、パリサック農業森林副大臣及びブントン・シェンクワン県知事からも、官民連携による農業生産振興や人材交流に大いに期待し本事業を支援していきたい旨の発言がありました。

JICAは今後、同様の実証事業を東南アジアの他の国でも展開していく予定であり、今回の署名はその第1号となります。JICAは、国内外の関係者との連携を深め、途上国と日本のニーズに応えるwin-winの事業の更なる展開を目指していきます。


（注）ファーマーズ協同組合は、2008年から技能実習生の受け入れを開始。2018年度はラオスから農業分野の技能実習生を約130名受け入れ、香川県の農業振興を行うとともに、技能実習生がラオスへ帰国した後も現地を訪問し、生産技術の助言・指導を行っています。また、帰国した技能実習生の生計を向上させるために、苗の販売や農産物の集荷などの産地化支援が必要であるとして、現地法人の設立も行っています。シェンクワン県では、これまでの同法人の活動の評判から、農民の技能実習生への応募が増加しています。