草の根技術協力事業のPoint

Point 1:地域住民の生活に直接役立つ事業

草の根技術協力事業の事業内容は、開発途上国の人々の生活改善・生計向上に直接役立つ内容である必要があります。事業の対象分野・課題については、厳密な定めはありませんが、例として次のような分野・課題での事業が挙げられます。

  • コミュニティ開発(農・山・漁村等の開発を含む。)
  • 防災の主流化(災害に強いコミュニティづくり等)
  • 脆弱性の高い人々への支援(児童・障害者・高齢者・難民等)
  • ジェンダーの主流化(ジェンダーの平等を目指したエンパワーメント等)
  • 保健医療(地域保健、母子保健、公衆衛生、栄養改善、プライマリヘルスケア、リプロダクティブヘルス、HIV/AIDS、ユニバーサルヘルスカバレッジ等)
  • 生計向上(伝統産業振興、住民組織化等)
  • 人材育成(教員養成、識字教育、ノンフォーマル教育、初等教育環境改善、職業訓練等)
  • 自然資源の持続的利用(荒廃地回復、森林・水産資源管理等)

なお、(1)実施団体の経済的利益を目的とした事業、(2)宗教活動・政治活動に関する事業、(3)文化交流(スポーツ、日本語教育等)が目的となっている事業や(4)医療行為を伴う事業は、草の根技術協力事業の対象とはしていません。

Point 2:人を介した「技術協力」

本事業は市民による「技術協力」を行うための制度ですので、物品の寄付や施設の建設、調査・研究だけで完結してしまうような事業は対象としていません。ここで言う「技術協力」とは、人を介した協力を通じて、知識・技術や経験・制度等を移転することを指します。

本事業では、この移転を行うにあたり必要となる簡易な機材の供与や施設の整備をすることは可能ですが、あくまでも事業の中心は、日本の人材から現地の人材への技術指導に置かれる必要があります。たとえ施設を建設する場合でも、日本から派遣された人材と現地の人材が協力して、その施設を活用するための方法や、将来にわたって維持管理されるための体制を根付かせていくことが必要です。
なお、人を介した知識・技術等の移転があったとしても、それが現地の団体が主体的に実施しているもので、日本の団体は主に資金を提供するだけの事業は対象となりません。

Point 3:国際協力に対する理解・参加促進

草の根技術協力事業では、日本の団体が事業を実施することにより、日本の市民が国際協力に対する理解や参加を促す機会となることを目的の一つとしています。
事業実施団体の国内関係者(支援者等)や市民一般に対して、草の根技術協力事業の成果を積極的に発信したり、市民向けの報告会やセミナー等を開催することにより、国際協力への理解・支持を拡大することが期待されています。

さらに、団体の途上国における活動経験を踏まえ、日本国内の課題解決に資する活動も事業総額の10%を上限に含めることを可能としています。分野・課題の定めはありませんが、活動例として、途上国のコミュニティで住民を巻き込んで課題を解決した経験や蓄積したノウハウを、日本の地域における住民間の協議の場で活用することや、途上国での活動の中で作成したマニュアル等を、日本の地域の課題解決に役立てるために活用すること等が挙げられます。