2022年9月29日
2022年8月30日、サンパウロ州カサパーバ市にて環境教育プログラム制定の法令5976号が制定され、同市の市官報に掲載されました。
本件は、2014年から2021年にかけて島根県とカサパーバ市の間で実施された草の根技術協力事業「サンパウロ州小学校教員の環境教育指導力向上事業」及び「サンパウロ州カサパーバ市における環境教育推進事業」において、本邦研修に参加した帰国研修員が中心となって同市の法制化に向けた働きかけを行った結果実現したものです。
本法令の制定は、これまでの事業で開発された環境教育のメソッドや教材を通じて地域の市立学校で取り組まれる環境教育活動の自立的な継続に寄与することになります。
7年間、2フェーズにわたって実施された島根県とカサパーバ市の環境教育事業では、カサパーバ市立学校の教員を対象に環境教育の指導力向上の研修が行われ、カサパーバ市の現状に適応した教材が論理編と実践編に分けて開発されました。
カサパーバは先住民の言葉で森の空き地という意味で、本事業はカサパーバの持つ意味をポルトガル語にした「クラレイラ・ダ・マタ」事業に現在改名されています。本事業はカサパーバ市が取り組んでいる環境教育運動の方針とも一致しており、カサパーバ市が市民に対して行っている環境意識向上を目指す取り組みと連携しながら活動が実践されています。
現在はカサパーバ市内の21つの学校に導入されており、これまで市内の幼児教育・基礎教育の児童・学生(幼稚園生から中学生まで)約6千名が本事業で実施した授業を受けています。法令5976号はそれら学校が自立的に環境教育に取り組み続けるために重要な役割を果たします。
法令化への働きかけを中心になり行ったシレネ・デ・カスティーリョ・ダニエル教員によると、環境教育では児童が環境に対して持っている感覚に働きかけるのが重要であり、児童が環境を理解する段階が早ければ早いほど環境への責任感に気づくのが早くなる、とのことです。
本事業成果の拡大のためにご協力いただいた帰国研修員及びカサパーバ市の方々のこれまでのご尽力に感謝いたします。