(科学技術研究員)テグシガルパ市首都圏における地滑りに焦点を当てた災害地質学研究

テグシガルパ市首都圏は、傾斜が多く地すべりが頻発する地形が特徴ですが、危険性の高い地域が多数存在するにも関らず、地質・地形に関する学術的研究が行われていません。そのため、危険地域に関する情報の不足、地質・地形に起因する災害に対するリスク評価の能力不足が問題となっています。この問題に対処するため、ホンジュラス国内で唯一地質学コースを有するホンジュラス工科大学(UPI、2007年創設)が中心となり、ホンジュラス地質協会(IGH)が組織され、学術的観点からの研究と知識の集積をスタートさせました。

しかしながら、IGHの中心的メンバーであるUPIにおいても地質学研究の歴史は浅く、能力と知見が十分に備わっておらず、現状では研究者の人数も少ないことから、地すべりに関し自国内で研究し危険地域を把握し、また、危険地域を更新するに至っていません。

これらの課題から、本プロジェクトでは、日本から研究員3名を短期専門家として派遣し、空中写真の地形判読による地すべり危険度マッピングを行い、AHP法(階層分析法)やGISを用いて地すべりのハザード評価等の共同研究を通し、ホンジュラスにおける地すべり分野での研究拠点の形成を支援しています。

2011年2月の短期専門家派遣では、地形判読に必要な実体鏡の使用方法についてIGHメンバーに特訓を行いました。また、2012年9月の派遣では、テグシガルパ市全域の地すべり地形の判読がほぼ終了。次回2012年11月にはGISの専門家が派遣され、地質情報等とともに9月に判読した地すべりポイントをGISに落とし込んでいく作業をする予定です。

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短期専門家と研修参加者

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八木短期専門家(山形大学)による講義風景