算数指導力向上プロジェクト

ホンジュラスの学校では学年末に進級テストがあり、成績によっては小学1年生でも落第し留年しなければなりません。1年生の教室に15歳の生徒が学んでいることもあります。特に成績が振るわないのは国語(スペイン語)と算数で、これらの教科の学力向上が国の目標の一つになっています。

子供の学力を上げるためには先生の指導力向上が不可欠であるという考えに立ち、日本はJICAを通じて算数の指導力向上を目指して現職教員研修や新規教員養成への協力を続けています。また、算数教科書や教師用指導書の作成も支援してきました。徐々に人材が育ち、子供の学力にも向上の兆しが見えていることから、日本の算数教育協力は政府や他のドナーからも高い評価を受けています。

しかし、現職教員研修を県や地区、学校が自力で計画運営するまでには至っておらず、現在協力隊員が派遣されている6県で実施している研修では、参加教員の算数指導力向上という技術面だけでなく、県・地区教育委員会指導主事の研修計画・運営能力強化にも重点を置いています。また研修乱立による授業日数不足を回避し、支援効果・効率を向上させるためには、他ドナーとの協調がとても重要になります。会合を持ち、研修に関する情報収集はもとより、研修マニュアルの提供や育成人材の紹介などを積極的に行い、研修で発信されるメッセージの共有を目指しています。

これまでJICAの協力の対象は小学校が中心でしたが、今年義務教育期間の延長が決定され、就学前教育や中・高等教育への支援ニーズが高まっています。この状況を受け、日本も今後の支援の方向性を検討する必要が出てきました。その第一段階として、ホンジュラスの教育に関する基礎調査や中学校数学教員の授業観察、アンケート調査などを実施し、現状把握を進めています。小学校にも増して低学力が大きな課題である中学校数学への支援や、教科書の更なる改善、教員養成や学級経営支援など、これまで成果を上げてきた算数教育協力をベースに、日本の強みを生かした協力展開が期待されています。

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カウンターパートによる国立教育実践研究所技官に対する算数指導法講座

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カウンターパートによる現職教員研修(米州開発銀行が支援するプロジェクトの講師として研修を実施)

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研修を受講した教員養成校数学教員による算数指導法の授業