シャーガス病対策アドバイザー

シャーガス病は別名:アメリカトリパノソーマ病とも呼ばれ、原虫トリパノソーマ・クルズィ(Trypanosoma cruzi)が血液に感染し発症する、中南米特有の人畜共通感染症です。
主な感染経路は、吸血性のサシガメをベクターとした媒介虫感染、輸血などによる血液感染、そして母親から胎児への母子感染などがあります。
シャーガス病予防は、マラリア熱、デング熱等他の媒介虫感染症に比べ努力次第ではその撲滅が可能といえます。 シャー ガス病を媒介するサシガメは、現在のところ殺虫剤による殺虫効果が高く、また、近い将来耐性を発達させる可能性も低いとされています。したがって、(1)殺虫剤散布、(2)住居の改善、(3)住民教育を通して消滅可能な病気であることが実証されています。

シャーガス病は中南米においてマラリアに次いで深刻な熱帯病であるとPAHO(米州保健機関)が位置づけており、中米7カ国及びPAHOは、「2010年までに中米におけるシャーガス病の感染を中断する」という目標を掲げた中米シャーガス病対策イニシアティブ(IPCA)を1997年に開始しました。

JICAは、同イニシアティブ推進のための各国による取り組みを支援するべく、これまでにグアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグアで技術協力プロジェクトを実施しました。各国でシャーガス病対策は成果を発揮し、2008年 グアテマラ、2011年ホンジュラス、ニカラグアでサシガメR. prolixus種による感染中止が認定され、2010年には、エルサルバドルのR. prolixus種の消滅が認定されました。

長年にわたる、日本の協力を通じて蓄積された知見は、各国関係者のみならず、IPCA参加国、PAHO/WHO(世界保健機関)及び世界各国のシャーガス病対策関係者にとって非常に有益であり、JICAや日本にとっても当該分野の技術優位性を示すものになると考えらます。また、各国関係者の協力成果や効果の取りまとめに関する能力向上を図ることで、当該国保健人材の能力強化に広く貢献できることから、「これまでの協力の知見、成果及び効果を各国関係者とともに掘り起こし、記録し、まとめ、共有する過程を通じて、協力成果や効果とりまめ及び共有に関する能力向上を図り、結果をIPCA域内に成果品として残すこと」を目的として、専門家を派遣しています。

【画像】

住民参加型監視システムの評価会の様子。