ホンジュラス中部に位置するエル・カホンダムには同国最大の水力発電所があり、その周りには豊かな生物相を育む森が広がっています。しかし、近年では人口増加に伴う森林伐採、土壌浸食、水質悪化などの様々な環境問題が見られ、土砂流入によるダム湖機能の低下まで懸念されています。
本プロジェクトでは、このような環境破壊を食い止め、エル・カホンダム流域に暮らす住民の生活に配慮しながら自然環境を保全していくことを目指しています。そして、そのプロセスへの地域住民の参加が重要な要素になると考えられます。
プロジェクトの主体となるのは、ダム周辺の森林保全区域を管理するホンジュラス電力公社(ENEE)です。環境保全につながる技術をプロジェクト終了後も住民自身で継続的かつ自発的に実践していけるよう、ENEE職員に対する指導・普及能力を強化することを目的としています。具体的には、各集落に設置された共同圃場で等高線栽培などの農業技術をグループ単位で学んでもらい、そこで学んだことを各自の農地で実践してもらうよう働きかけます。そして最終的には、人的交流を通してその成果が他集落にも波及していくことが期待されます。
本プロジェクトでは、モデル集落住民を対象にFOCALの研修を実施したり(FOCALプロジェクトの詳細はホームページ参照(地方開発のための自治体能力強化プロジェクト(FOCALII))、パナマで過去に行われた流域管理プロジェクト(パナマ運河流域保全計画、アラフエラ湖流域総合管理・参加型村落開発プロジェクト)に関わっていたパナマ人専門家による研修を実施したりしており、このように他案件の知見・ノウハウが活用される点も大きな特徴の一つです。