野菜で家族全員を笑顔に!ウガンダ北部における新たな挑戦

2022年3月11日

穏やかな気候と豊かな土壌に恵まれているウガンダは、農作物の栽培に適しているとされ、市場では様々な野菜や果物を目にすることができます。

しかし、ウガンダ北部アチョリ地域では20年以上続いた内戦の影響により、他の地域と比較して貧困率が高く、識字率も低いなど発展から取り残されていました。そのような中、北部ウガンダ生計向上支援プロジェクト(Northern Uganda Farmers’ Livelihood Improvement Project, NUFLIP)では、アチョリ地域の農家の収入の向上と生活の質の向上を目指してきました。2015年から始まったフェーズ1では、自給自足の農家を主な対象とし、市場志向型の野菜栽培を通じた生計向上に貢献してきました。2021年9月から始まったフェーズ2では、対象農家を大幅に増やすとともに、雨期だけでなく乾期でも野菜栽培を行える技術を提供することで、より商業的な農家を増やす新たな取り組みを始めています。

現在プロジェクトではKitgum県とNwoya県に試験圃場を設置し、乾期栽培および灌漑にかかる適正技術を県の農業普及員と共に実証する活動を行っています。JICAウガンダ事務所がKitgum県の圃場を訪問した際は、トマト、ピーマン、キャベツ、スイカが収穫の時期を迎えていました。農作物の栽培が難しい乾期は市場で野菜を高く売ることができ、収入の向上につながることが期待されます。今後は、プロジェクトの研修を受けた普及員が中心となって農家への研修を実施し、いずれは農家自身が自分たちの手で乾期栽培ができるようになることを目指しています。

【画像】

収穫を喜ぶ農家

【画像】

試験圃場全景

NUFLIP2では前フェーズと同様に、雨期栽培に関する農家を対象とした研修も行っています。JICAウガンダ事務所が訪問した際には、市場のニーズに合わった野菜品目を選定するための市場調査の実施方法や、年間の食料作物の栽培計画作成など、実践的なスキルを学ぶ研修が実施されていました。研修後、参加者は実際に市場調査を実施し、売れる野菜の種類や質・時期などの情報を収集します。研修で重要視していることは、参加者が各家庭に帰った後、研修で学んだことを家族と共有することです。家族の皆で、農作物や収入の管理計画を話し合うことによって、主体的に生計向上に関わることが期待されます。参加者の一人が、本研修に関して「他の農家達と一緒に学ぶことができ、仲間もできて嬉しい」と生き生きと語る笑顔がとても印象的でした。

【画像】

研修に参加する農家

市場志向型の野菜栽培を通じた農家の収入向上のみならず、家計管理や食料在庫管理、栄養改善なども含めた様々な知識を活かし、家族全員の生活の質の向上にもつなげていく思いで、プロジェクトチームは活動しています。NUFLIP2の活動の目標は、家族全員の幸せの実現です。NUFLIP2を通じて、多くの農家がアチョリ地域においてより豊かな生活を送ることが期待されています。

関連サイト