「家族全員の幸せのために!」市場志向型農業と生活の質の向上

2018年4月25日

ウガンダ北部では、反政府組織と政府軍の内戦が20年以上続き、多くの子どもが誘拐されて少年兵となり、住民の9割以上が国内避難民生活を余儀なくされました。2006年の停戦以降、さまざまな復興支援が行われましたが、農業の生産性は低く、貧困率は60%以上と高い状態が続いています。そのような状況の中、2015年11月から5年間の予定で北部ウガンダ生計向上支援プロジェクト(Northern Uganda Farmers’ Livelihood Improvement Project:NUFLIP)が開始されました。

プロジェクトの目標と活動内容

NUFLIPの究極の目標は、子どもも大人も女性も男性も含めた家族全員の幸せの実現です。プロジェクトでは、市場志向型農業と生活の質の向上を組み合わせた生計向上アプローチの確立を目指しています。具体的には、1)野菜栽培を通じてどのように収入を増加させるか、2)その収入をどのように使うか、3)家族の栄養をどのように改善するか、4)男女でどのように労働分担するか、5)社会的弱者(寡婦、障害者、高齢者、元少年兵等)をどのようにサポートするか、を家庭内やグループ内で話し合いながら活動を進めています。例えば、家計管理と栄養改善の研修では、毎月どれくらいの食料を収穫し、市場に売り、自家消費用に保管するか、という食料在庫カレンダーと現金管理カレンダーを作成し、年間を通じて食料不足と現金不足に陥らないように工夫しています。

社会的弱者に配慮した研修教材

研修を行う際に最も配慮していることは、対象農家の約半数にあたる非識字者にも理解してもらうことです。特に女性の非識字者が多く、文字を読んだり、計算をしたりするのが苦手な人が多いため、イラストや写真を多く入れた教材を使い、プラスチック製のアイコンやお札のカードを手作りして、誰でも参加しやすい工夫をしています。その結果、男女が笑顔で一緒に議論できる雰囲気の研修になっています。

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ジェンダー啓発研修の教材の一部

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食料在庫カレンダーの例

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利用可能な食材カレンダーを男女一緒に作成