【実施報告】オンライン開催 2021年度第2回国際教育研修会

2022年2月9日

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全国からたくさんの方がご参加くださいました

  • 日時:2022年1月29日(土) 12時30分から17時15分
  • 参加者:38名
  • 実施方法:「Zoom」を活用した講義とワークショップ

教師国内研修での体験を学習材作成に活かす

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教師国内研修の報告

教員や学生、広く国際教育に関心のある方々を対象に毎年開催している国際教育研修会、今年度の第2回はオンラインで開催しました。教員や多文化共生・地域づくりに取り組む方など幅広い立場の方が、中国地域はもちろん、神奈川や徳島、福岡など様々な地域からご参加下さり、ワークショップを通して意見交換を行いました。
本研修会は、2021年度JICA中国教師国内研修にご参加の先生方の発表を中心に実施しました。はじめに、教師国内研修の概要を広島商船高等専門学校の下田旭美先生からご紹介頂きました。研修スケジュールやフィールドワークの訪問先、またそこで得た情報や参加教員の感想を、授業やワークショップ作成にどのように反映したかなど、そのプロセスや難しさについて率直に語ってくれました。

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学習材の一部を体験

教師国内研修の総合監修をお願いしている川崎医療福祉大学の山中信幸先生からは、実体験を授業や学習材作成に活かすポイントをお話頂きました。その上で、それらの点を意識してどのような学習材を作成したのか、ご自身が見聞きしたことを子どもたちにどう伝えようと思ったのか、について、岡山市立高松中学校の阿部友彦先生からご発表頂きました。
生徒には、自分が暮らす地域の特徴を知り、足元を見つめることで世界の課題も考えてほしい、というねらいを込めて、SDGsとまちづくりをテーマにした学習材を作成された阿部先生、作成までの苦労や未完成部分への問題意識などもお話下さり、教員自身の考えや想いを形にすることの難しさとやりがいを示してくれました。

多様な社会に生きる子どもたちへ伝えたいこと

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関先生の発表の様子

後半は3名の先生それぞれが作成したワークショップを参加者全員で体験しました。香川県坂出市立林田小学校の関悠夏先生の内容は、同じ説明を聞いて、各自で絵を描くというとてもシンプルなもの。それだけの作業でも、出来上がるものは様々です。「ちがい」は性別や立場によって決まるものではなく個人によることを知ってほしい、そしてそれを当たり前だと感じる子どもたちであってほしい。そんな深いメッセージを担任する小学1年生に伝えるにはどうしたらよいか、いろいろ考えられた結果、参加者に易しくシンプルなアクティビティが完成しました。

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ワークシートで考える「相互理解と寛容」

島根県松江市立竹矢小学校で4年生の児童を担任する勝部知早野先生は、様々な背景を抱える児童が増えた現代だからこそ、「相手を大切にし、広い心で関わる相互理解と寛容の心情」を育てたい、と考えたそうです。そこから「もしかしてだけど!」というアクティビティを作成されました。自分の常識で判断し、相手を批判してしまいがちな日常の中で、「もしかしたら、自分が予想もしなかった出来事が相手に起きているとしたら?」と想像することで、他者を受け入れることができるのではないか。そんな想いのつまったアクティビティは、クイズのような楽しさを含みつつ、大人にとっても深い気づきを与えてくれました。

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学習材作成のねらいを話す福島先生

AICJ中学・高等学校の福島未希先生のアクティビティのテーマは「あなたはイルカを食べられる?食べられない?」というものでした。以前から平和教育の在り方を考えていた福島先生は、教師国内研修で広島県の大久野島を訪問した際、案内して下さった方と話したことで、相手と対話し、歩み寄ることが本当の平和教育だと考えたそうです。そして、対話の中で衝突も起こりうる「良い」「悪い」という基準はどう決まるのか?という疑問から、学習材づくりに至ったそうです。参加の皆さんは、ブレイクアウトルームを活用してグループごとに様々な意見を出し合い、短い時間ながらまさに対話を重ねて下さいました。

ご参加の方からは「それぞれのワークショップに先生方の思いやねらいがあって、出来上がった学習教材やアイディアを活用したい」「様々な校種の先生の発表から、発達段階がわかって面白かった」という意見や、発表の先生方が教師国内研修というJICAのプログラムに参加され、多くの時間を費やして学ばれたことについて「学校外の世界に意識的に目を向けること、数々の経験や出逢いに対して自分の時間や足を使って自身をアップデートしていくことの重要性を感じた」という感想も上がりました。

本研修会で発表された学習材は、今後JICA中国が冊子としてまとめ、多くの方に活用頂けるよう配布し、HPにも掲載予定です。ご期待ください!