ポートビラにおける2年間の生活と活動

2019年6月20日

青年海外協力隊
2017年度1次隊
木下 侑紀(小学校教育)

こんにちは!2017年度1次隊の木下です。私はバヌアツの首都、ポートビラ市にある教育事務所で活動しています。そして2019年7月で2年の任期を終え帰国します。今回は、私の生活してきたポートビラ市の紹介と活動の紹介をしたいと思います。

(1)ポートビラ市紹介

ポートビラ市は首都であり、国際空港があったり、クルーズ船が停泊したりするバヌアツの玄関口です。街を歩くと、アイランドドレスやシャツに身をつつむ現地の人と旅行を楽しむ観光客、またバヌアツに移住してきた人など様々なルーツをもつ人が共に関わり合いながら生活しています。また、市の中心部である「タウン」は20分ほどで端から端まで歩けてしまうような小ささで、高いビルなどはなく、どこかのどかな首都です。

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タウンで私が好きな場所の一つに「マーケット」があります。マーケットでは季節の野菜や果物、伝統料理のラップラップなどが昼夜問わずに販売されています。少し涼しくなってきた今の時期(6月、7月)はグレープフルーツなどの柑橘類がたくさん売られており、キャベツや青梗菜のような葉物野菜が増えてくる時期です。夏にむかっていく8、9月になると真っ赤なみずみずしいトマトが、10月頃にはマンゴーが、暑くなった11月、12月ごろには大きなスイカや芯まで食べられるパイナップルが多く売られるようになります。また2月から3月ごろに売られるアボガドはとても大きく絶品です。隊員として首都で生活していると畑に行く機会はあまりありません。しかしながら、マーケットの野菜の品ぞろえの変化をみていると、恵まれたバヌアツの大地と自然の恩恵を受けながらいきていることを感じます。

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もう一つ紹介したい場所として、「センターポイント」があります。ここは、バヌアツの伝統衣装であるアイランドドレスやアイランドシャツを作ったり、販売したりしているところです。バヌアツの人々は、アイランドフォーマルとして、冠婚葬祭に出席するときにはアイランドドレスやシャツを着用します。また、日曜の礼拝に教会に行く際にも着用しています。さらに、普段着としても常用しています。私たち隊員の多くもアイランドドレスやシャツを数着持っており、活動の際やバヌアツの人々と交流する際などに良く着ています。その服はセンターポイントにてオーダーメイドで作ったものも多いです。オーダーメイドの際は、タウンの布屋で好きな生地と装飾(レースやボタンなど)を選び、センターポイントに持ち込みます。そして、センターポイントにある20ほどのエリアのなかから、好きなところやお願いしたいママを選び、希望するデザインを伝え、採寸し、値段交渉をし、注文します。私は小学校に授業訪問に行く際はよくアイランドドレスを着ていますが、アイランドドレスを着て歩いていると「ドレスすてきね!!」とか「よく似合っているわ!」と道行く人たちが声をかけてくれます。日常生活において、異文化に戸惑う点も多くあります。しかし、「まずは形から」ということで、ちょっと派手なアイランドドレスに身を包み、街を歩くことをおすすめします。

(2)活動紹介

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私の配属先は、首都の属するシェファ州の教育事務所です。これまでに行ってきた主な活動は、算数や音楽の巡回指導と算数教師会や音楽教師会の運営支援です。

巡回指導では、要望のあった学校に出向き、算数や音楽の指導への助言を行ったり、実際に授業を行ったりしています。現地で行われている算数の授業では、教え込みの指導が多いことや数の概念形成を促す指導が十分でないことなどが課題です。それらを改善できるように、具体物を用いた指導や子どもたちが体験したり考えたりする活動を授業に取り入れることを提案してきました。

教師会の運営支援では、現地人先生が主体となって運営されている教師会に参加し、活動計画の立案やワークショップにおけるアイディア提供などを行っています。元々、この教師会は過去にいたボランティアが、先生方や教育事務所職員と共に立ち上げたものです。それが、ボランティアの支援を受けつつ先生たちの力で現在まで続いています。算数教師会では、「子どもたちが算数の授業を楽しんで、内容を正しく理解できる授業づくり」を目標とし、教師会の運営委員の先生が発表者となりワークショップを行っています。毎月開催するワークショップの前に発表者の先生と打ち合わせをし、共に授業をすることで指導法の提案や指導技術移転をすることが私の主な役割です。

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算数教師会の活動に参加し始めたころは、ワークショップで共にプレゼンをする予定だった先生が当日連絡もなしに来なかったことや、急なハプニングに悩まされることが何度もありました。その度に私は、「どうすればよいのだろう?」と悩んでいました。しかしながら、運営委員の先生方と打ち合わせやワークショップ、ワークショップ後のおしゃべりなど共に活動する時間が増え、お互いを理解し合えるようになったことで徐々に状況は改善していきました。ハプニングが起こっても、一人で焦らず先生たちに任せとけばどうにかなると思うようになりました。先生方から、「あなたが私たちを信頼してくれていることが伝わるから、私たちも頑張れるよ。」と言ってもらったときはとても嬉しかったことを覚えています。

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2年間のバヌアツでの活動はもうすぐ終わります。しかし、この経験をどのように活かしていくかが私の帰国後の課題であり成果だと思っています。経験を活かせるのは職場かもしれないし、私生活の中かもしれないし、人と関わるその一瞬一瞬かもしれません。自分の未来ですが、分からないことは沢山あるし、それはそれで面白いと思っています。そして、私をそういう気持ちにさせてくれたバヌアツでの出会いに心から感謝しています。