イランとトルコのJICA帰国研修員同窓会「持続可能な水産開発」をテーマに初の合同オンラインセミナーを開催

2021年3月8日

2月17日(水)イランとトルコのJICA帰国研修員同窓会の共催で、イラン農業開発推進省漁業機構およびトルコ農業森林省水産養殖総局の協力のもと「持続可能な水産開発」についての初めての合同セミナーが開催されました。セミナーにはJICA関係者や同窓会会員の他、両国政府の漁業水産関係者140名以上が参加。両国の水産業の現状と課題が共有されるとともに、活発な質疑応答が交わされ、双方の同分野における関心の高さが伺えました。

また、今回成功裏に終了した同セミナーをきっかけに、両国の関係機関において今後の技術的な協力関係と友好関係を発展させるための担当窓口が設置されることとなりました!

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帰国研修員同窓会が周辺国との技術協力の火付け役に…!

中東各国の中でも国土が海に面しているイランとトルコは、海洋資源に恵まれ、漁業・水産業が盛んな国です。トルコにおいては過去の日本政府の技術協力により養殖技術が向上し、今では周辺国に技術移転をする第三国研修の実施国に成長しました。トルコ産のマグロやトラウトは現在日本にも輸入されており、イランのペルシャ湾の海老やマグロは業界内では高品質だと知られています。そんな両国ではありますが、海の資源には限りがあり、現在は海面漁業より養殖業の生産量が上回っています。今後、持続可能な水産業の発展には数々の課題を解決してゆく必要があり、国を越えて知見を共有し取り組んでいかなければならないテーマなのです。

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トルコ水産養殖総局 Turkyilmaz副局長からトルコの水産業の現状と日本の技術協力についての経験共有

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イラン漁業機構水産局ABDOLHAY局長からのイランの水産業の現状についての発表

今回のセミナーは、今までなかなか情報共有する機会がなかった両政府の漁業・水産業関係者が顔合わせし、お互いの状況や課題を学び、共にどのような協力関係を構築できるかを検討する機会となりました。参加者からも反響は大きく、今後両国の水産分野での関係強化と発展を目的に担当窓口を設置すること、継続して技術的なセミナーや協議の場を設けてゆくこと、また、いずれはお互いに両国を訪問し合い、技術協力の可能性を探ってゆくこと等が提起され、セミナー終了後、既に具体的なアクションが起こされています。

両国の帰国研修員同窓会の発意で企画されたセミナーが、国境を越えた技術協力の契機に繋がる可能性を示した良い例です。このような小さなインプットではありますが、JICAの過去の技術協力や研修事業が実を結び、第三国同士で国境を越えた知見共有が展開されてゆくことが期待されます。