「低炭素化交通実施能力の向上」-研修の実施

2022年6月1日

化石燃料資源が豊富な国であるイランは、生活支援策として燃料費に対して多額の補助を行っています。そのため省エネのインセンティブが働きにくく、温室効果ガス排出量は世界8位です(2019年時点)。温室効果ガスの22%は交通分野から排出されており、この分野での排出削減効果は大きいと期待されています。温室効果ガス削減のため、交通行政を所管する道路・都市開発省は、環境側面に配慮した持続可能な都市間交通開発計画に取り組もうとしており、この分野での知見を求めて日本政府に技術協力を要請しました。

JICAはこの要請に応え、2021年度課題別研修(注)「都市鉄道の運営」、「都市総合交通」、「持続的な都市開発のための都市経営」の各コースに道路・都市開発省関係者をそれぞれ1名、研修員として受け入れました。残念ながらコロナウイルス感染の影響でオンラインでの研修実施となりましたが、渋滞解消、交通量削減、公共交通利用促進等を含む包括的な温室効果ガス削減施策を学ぶべく、各研修員は積極的に研修に取り組みました。研修員からは、「同様の課題に取り組む他国政府関係者とのディスカッションは、課題解決への第一歩として大変有意義だった」、との声がありました。

イランでは、公共交通指向型開発(Transit Oriented Development:TOD)や再生可能エネルギー、そして、省エネルギー技術の導入についても検討が進んでおり、各取り組み間での相乗効果が期待できます。

JICAでは、2022年度も上記3コースにそれぞれ1名の研修員を受け入れる予定となっており、この分野での支援を継続します。

(注)課題別研修:課題別研修は、日本側が研修内容を企画・計画し、開発途上国に提案する研修です。日本が有する知識や経験を通じて途上国が抱える課題解決に資するよう、国内の多くの関係団体と連携しつつ実施しています。

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研修終了後、各参加者と研修のふりかえりを実施した時の様子