北岡理事長が米国を訪問:第6回JICA-世界銀行グループ・ハイレベル対話の他、関係機関のトップと面談

2019年9月30日

北岡伸一JICA理事長は、9月18日から26日にかけて米国を訪問しました。

1.第6回JICA-世界銀行グループ・ハイレベル対話

総括セッションの様子【写真提供:世界銀行】

9月19~20日、北岡理事長は、「第6回JICA-世界銀行グループ・ハイレベル対話」に出席しました。

ハイレベル対話は、JICAと世界銀行(世銀)グループのトップの意見交換の場として、2014年から毎年実施しています。今年は世銀本部(ワシントンD.C.)において開催され、人的資本(Human Capital)や質の高いインフラ投資など国際開発における重要な課題について意見交換し、民間資金動員を含めて両機関の事業効果拡大を目指した一層の連携強化について議論しました。

議論には、JICAから北岡理事長、理事を含む35名が、世銀グループからは、マルパス世銀総裁、国際金融公社(IFC)や多数国間投資保証機関(MIGA)の幹部を含む総勢約70名が参加しました。

今回のハイレベル対話では、G20大阪サミットでの「質の高いインフラ投資に関するG20原則」の採択を受け、「質の高いインフラ投資」セッションを新たに設けました。その中で、ライフサイクルコストを考慮した経済性向上、インフラ投資への環境社会配慮の統合、インフラ・ガバナンスの強化に両機関が共に取り組むことが重要であることを確認し、質の高いインフラ投資を国際社会で推進していくために協力することで一致しました。また、「人的資本」セッションでは、人的資本への投資を加速するため、保健・栄養・教育に対する横断的なアプローチ及びコミュニティ参加を通じた共同イニシアティブを実施することについて議論しました。特に、乳幼児期など早期の介入(early years investment)及び女子・女性のエンパワーメントを更に重視していくことで合意しました。

さらに、地域別セッションでは、各地域や国の特徴・課題に応じた取組みが話し合われ、具体的な協力方針が合意されました。特に、アフリカ地域については、2019年8月に横浜で開催されたTICAD7を受けて、民間セクター開発やデジタル、イノベーション、人的資本、スポーツと開発に関する取組みが議論されました。

2.国際機関トップ等と面談

グリーンUSAID長官と面談

9月20日、ブルッキングス研究所で、自由で開かれたインド太平洋構想における国際協力の役割について、在米の有識者と意見交換を行いました。

また、9月23日、北岡理事長は、アメリカ国際開発庁(USAID)のグリーン長官と初めて面談し、日米の二国間援助機関としてインド太平洋地域における連携の可能性について意見交換を行いました。

3.SUNムーブメント・リードグループ会合

SUNムーブメント・リードグループ会合の様子

9月24日、北岡理事長は、ニューヨークのUNICEF本部で開催された「SUN(Scaling Up Nutrition)ムーブメント・リードグループ会合」に出席しました。

「SUNムーブメント」とは、途上国の栄養改善に取り組むため、2010年に国連主導で発足した運動で、国際機関、民間企業、市民社会等が広く参画しています。北岡理事長は、2019年5月、国際機関の長や各国の閣僚、民間団体の代表など、グローバルな栄養改善の取組みのリーダーで構成されるSUNの最高意思決定機関である「SUNリードグループ」のメンバーに就任しました。

今回の会合では、「SUNムーブメント」の活動を2025年まで継続することが決定されたほか、各メンバーから、栄養改善に取り組む意向表明がなされました。北岡理事長は、栄養は「人間の安全保障」の鍵であると指摘した上で、JICAは日本の栄養不良克服の経験も踏まえ、IFNA(食と栄養のアフリカ・イニシアチブ)等を通じて途上国の栄養改善に貢献していく考えを表明しました。