途上国の開発の構想を描き
協議を通じて計画をつくり上げていく
プロジェクト形成とはどのような段階になりますか
丸山:国別の協力戦略や課題別の協力方針に基づいて、事業展開の構想を描き、計画を策定するのが「プロジェクト形成」のプロセスです。相手国の人々、専門家の方々や在外事務所の担当者との意見交換を通じて相手国の開発課題に対する有効な施策を構想し、人材や予算等を想定しながら、相手国との協議を通じてプロジェクトの計画を策定していきます。本格的にプロジェクトを開始する前段階に、小規模なパイロットプロジェクトを実施し、その結果をもとにプロジェクトの計画を策定することもあります。プロジェクト形成の段階で、JICA職員には、相手国の人々とコミュニケーションをとりながら、専門家の方々の力を借りて国創りの構想を描き、限られた準備期間の中でその構想を具体化するプロジェクトの計画を相手国の人々と練り上げていく役割が求められます。
篠原:私は現在、フィリピンに対して有償資金協力(円借款)による地下鉄建設プロジェクトの案件形成を担当しています。この案件でお話しすると、まず、プロジェクトとして具体化される前段階に、JICAが「運輸交通ロードマップ調査」を行っていました。この「運輸交通ロードマップ調査」ではフィリピンのマニラ首都圏の持続的発展に向けて、どのような課題があり、それに対して今後どのような都市構造の転換や地域開発が必要か、そのためにはどのような運輸・交通インフラを整備していくのがよいか、という提言がフィリピンの関係省庁や大学の研究機関、開発コンサルタントなど多くの関係者との対話を通じて導き出されていました。その提言をベースに、これからマニラ首都圏における地下鉄建設を具体的なプロジェクトとして形成していくところです。