北澤豪 パレスチナの子供たちに夢を(2006年9月)(2/5ページ)

JICA帰国研修員からの招待とサッカーイベント前夜祭

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ジェリコ市入り口の大きなJICAプロジェクトの看板

イスラエル側による検問を通ってジェリコに入ると、すぐの道路わきに大きな「JICAジェリコ・ヨルダン渓谷開発プログラム」と記された看板が。北澤さん一行も驚いた様子。

JICAは現場でのプロジェクトを支援するためラマッラとジェリコにフィールドオフィスを設置しています。一行はJICAのジェリコ・オフィスを訪問、現地スタッフとの顔合わせを行いました。折しもパレスチナはラマダン(断食)期間中。夕方、一行とJICA・大使館関係者は小グループに分かれ、JICAが日本での技術研修に招へいした帰国研修員のお宅で日没後のイフタール(一日の断食明けの最初の食事)に招待されました。自分たちが日本滞在中、日本人の家庭からホームステイに招待されたお返しにと企画してくれたものです。北澤さん一行は教育分野の研修で北九州に滞在したモハメッドさん宅に招待されました。ブドウの葉で巻いた奥さん手作りのご飯や、スープ、肉料理をご馳走になりました。パレスチナ人の家庭にも私たちと同じように家庭の団欒があり、子供たちの夢を語りあう平和な暮らしがあります。北澤さんがモハメッドさんの子供に夢を尋ねると「一生懸命勉強して医者になりたい」。「子供たちのために出来るだけのことをしてやりたい」とモハメッドさんはやさしく語ってくれました。

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イフタールの様子

余談ですが、パレスチナは帰国研修員の活動が活発なところのひとつです。日本に滞在した共通体験をもつ研修員が同窓会を作り、昨年はガザの海岸で清掃キャンペーンを市と共催。また、保健医療関係の帰国研修員が難民キャンプで無料巡回医療サービスを実施するなど、社会奉仕活動に取り組みました。JICA事務所もそのような活動を応援しています。今回のサッカーイベントも、帰国研修員同窓会がサポートしてくれました。

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前夜祭の様子

イフタールの後は、午後8時から地元のスポーツクラブで前夜祭が開催されました。暑い日中と違って幾分しのぎやすい夜、沢山の大人、子供たちが集まり何が始まるのか期待に胸を膨らませます。北澤さん一行が大きな拍手で歓迎され、県知事、PLO(パレスチナ解放機構)の幹部エラカート交渉局長とジェリコ市長が挨拶。日本の協力に大きな感謝の言葉が送られました。そしてJICA側からサッカーボールとユニホームの贈呈が行われました。その後、地元クラブの青年による民族舞踊や女子グループによるバレーダンス、子供たちの空手の演武が披露され、暖かい歓迎に一行も感激した様子。会場の一角の建物の中では地元NGOによるテーブルクロスや人形など民芸品が展示されていました。

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タウンミーティングの様子

翌日29日(金)、午前中、JICAが実施している「ジェリコ及びヨルダン渓谷における廃棄物管理能力向上プロジェクト」を訪問しました。JICAはジェリコ地域の将来的な開発の青写真を作る調査を行っており、昨年からは地方自治行政と母子保健の能力向上を目指す技術協力プロジェクトも実施しています。

廃棄物管理プロジェクトの研修施設では30名程集まっていた青少年達にゴミ問題への理解を深める講義が行われており、青少年達は講師の質問にわれ先にと手をあげます。将来の国づくりを担う青少年たちの意識を高めることは大人にも影響を与えることから、プロジェクトでも重視しているとのこと。北澤さん一行は子供たちの積極的な様子に感心していました。

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北澤さんの写真が掲載された地元新聞

講義の後、北澤さんは研修施設に来訪した地元新聞記者からインタビューを受け、この模様は翌日地元紙3紙に掲載されました。