北澤豪 パレスチナの子供たちに夢を(2006年9月)(4/5ページ)

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)運営の小中学校と保健センターなどを視察

【写真】

学校視察の様子

30日(土)午前、ジェリコに到着した鹿取大使もいっしょに、UNRWAの運営するジェリコ難民地区のアカバットジャベール基礎教育学校を視察しにいきました。昨夜のサッカーイベントを知っている生徒たちが大歓迎してくれました。教室2つを巡回しながら、試しに「昨日のサッカーイベントで爆竹を鳴らした子は?」と聞くと素直に2人が手を挙げました。えらい。「君たちは今晩の会場に爆竹を持ってこないよう指導係になること。いいね?」「うん」「わかった」。

【写真】

保健センター視察の様子

続いて視察した保健センターには子供を連れた多くの女性が来ており、JICAの「母子保健に焦点を当てたリプロダクティブヘルス向上プロジェクト」で作成された母子手帳を持参した妊婦さんもいました。このプロジェクトは、アラビア語で作成した母子保健手帳の普及・活用を通じて住民サービスの向上を図るものでUNRWAやUNICEFとも連携しながら実施されています。イスラエル側による検問や分離壁によってパレスチナ人にとっては移動の制限の多い現地ですが、手帳を持つことで近くの保健所にいけない女性が別の医療機関で適切な検診を受けられるという効果もあります。ヨルダン事務所からJICAラマッラフィールドオフィスに応援出張している女性のディマ所員が丁寧に手帳の意味を解説していました。別れ際、UNRWAのジェリコ代表からは引き続きJICAとの連携を促進していきたいと期待が表明されました。

【写真】

病院視察の様子

次に日本の無償資金協力で建設整備されたジェリコ病院(98年完成)を視察。県外も含め8万人を対象に診療する中心的医療機関となっているとのこと。病院長室で懇談後、よく整頓された各診療施設を視察しました。

帰路、ジェリコ市内の貴重な水源となっている湧水場と、キリストが悪魔の誘惑に耐えて苦行を行ったという誘惑の丘を訪問。

休憩を取りながら大使、北澤さん、成瀬所長は、パレスチナ協力の目標のひとつでもある「信頼醸成」の面でスポーツの果たす役割は大変大きいことについて語り合い、「将来的にパレスチナ人、ヨルダン人などでサッカー交流を実現できたらすばらしい」と意気投合。「パレスチナではこれからたくさんの開発課題に取り組んでいく必要があるなか、いつか青年海外協力隊員が活躍できるようになったらいいですね。」と意見が一致しました。政情や治安状況の面から、パレスチナにはまだ青年海外協力隊員が派遣されていないのです。

【写真】

オフィスでの作戦会議

午後は、JICAジェリコ・フィールドオフィスで、今晩のサッカーイベントのスケジュールのチェックと日本チーム勝利に向けてみんなで「作戦会議」を行いました。