「大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクト フェーズ2(J-PRISM II)」処分場運営機材(エクスカベーター)の供与とブッファ処分場の改善に向けた取組

2022年5月23日

JICAバヌアツ支所 植村 吏香、茂木 晃人
J-PRISM II 廃棄物管理専門家 孔井 順二、小谷 倫加恵、谷津 哲夫

「大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクト フェーズ2」(通称、「J-PRISM II」)(プロジェクト期間:2017年2月~2022年9月)では、2006年9月に開始した「ブファ廃棄物処理場改善プロジェクト」以降、15年以上にわたってブッファ処分場の改善支援を行ってきました。今回は、J-PRISM IIを通じて実施中の重機を活用した技術指導を含む改善活動についてご紹介します。

ブッファ処分場の改善活動

ブッファ処分場は、バヌアツの首都ポートビラ市のごみを受け入れている最終処分場です。現在使用中の区画(Cell-1)は2008年より使用されているもので、2015年に「大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクト フェーズ1」(通称、J-PRISM I)の支援によって拡張が行われました。現在は既にその容量を超えてごみの埋立が行われており、埋立スペースの逼迫により、既存の搬入経路ではごみ収集車両が進入できなくなったため、ポートビラ市役所(PVCC)はJ-PRISM IIで作成したブッファ処分場拡張計画に基づいて新規搬入路の建設工事を埋立運営と並行して実施しています。J-PRISM IIでは新規搬入路の測量と、重機を用いた搬入路の建設工事や排水路工事の技術支援を行うとともに、搬入路の舗装材(砕石)を確保するためにブッファ処分場敷地内で試験掘削を行い、場内で砕石を確保できることを確認しました。
処分場の埋立運営や維持管理、拡張工事には、収集車からダンピングされたごみを集め、押し均す・転圧等を行うブルドーザーと、埋立られたごみ山を整形したり、覆土、ガス抜き管の設置や排水路の維持管理には掘削機(エクスカベーター)の2種類の重機が必要です。2021年末時点でブッファ処分場には使用可能な重機は、日本政府から供与されたブルドーザーが1台あるのみで、PVCCは必要に応じて掘削機をレンタルしていました。しかしながら、タイムリーな対応ができないことと、高額なレンタル費用を要することから、処分場の施設は徐々に劣化していました。JICAバヌアツ支所はこのような状況を憂慮され、早期にこれを打開するためにPVCCに対して、汎用機として稼働率の高いエクスカベーター1台を供与することをJICA本部に提案され、JICA本部はこれを承認しました。

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ポートビラ市役所(PVCC)の職員に水準測量の技術移転を行った。

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測量を始めて2時間後には、PVCC職員は自らで機器を設置し計測作業を行うことができるようになった。

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アクセス道路を建設するための道路中心線のくい打ち作業では、伐開には日本が供与したブルドーザーを使用した。

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重機を借上げ、場内道路建設に必要な石灰岩の掘削を行っているところ。

掘削機(エクスカベーター)引渡式典を行いました

2022年2月にバヌアツ国内で新型コロナウイルス感染者が確認されて以降、首都のロックダウン等の影響を受けて引渡しが延期になっていましたが、2022年4月12日、無事にJICAバヌアツ支所からポートビラ市役所(PVCC)に対して、ブッファ処分場の運営・維持管理に利用する掘削機(エクスカベーター:総重量24トン、バケット容量0.8立方メートル)1台の引き渡しが行われました。
2022年の雨期明けには、PVCCはJ-PRISM IIの支援を受けて、直営で場内道路の建設と埋立区画の拡張に着手する予定です。

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JICA よりポートビラ市役所に供与した掘削機(0.8立方メートルクラス)

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JICAバヌアツ事務所植村吏⾹所⻑の挨拶

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司教によるお祓い。聖⽔を使っての安全運転、無事故祈願

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ODA マーク、JICA マークの貼り付け。JICA マークの横にポートビラ市のロゴマークを貼り付けるため、スペースを確保

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地元新聞(Daily Post)での報道記事(2022年4月16日掲載)

関連リンク

地元新聞(Daily Post)オンライン記事