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修学旅行で地球ひろば訪問をしている小学校の取り組み(山梨県北杜市立長坂小学校)

2019年8月1日

mundi8月号「世界につながる教室」では、JICA地球ひろばが取り上げられていますが、この記事では、地球ひろばを毎年ご訪問くださる、山梨県北杜市立長坂小学校の取り組みをご紹介いたします。

長坂小学校の6年生が修学旅行で地球ひろばを訪問するようになり今年で3年目になります。5年生の二学期から国際協力やSDGsを勉強し、訪問後も世界のために自分たちが何をできるか考えるという取り組みについて、小学6年生担任の安孫子功実先生に伺ってみました。

地球ひろば訪問前の取り組み

当校では6年生の修学旅行は5月に行います。それを見越して、小学5年生の2学期から、国際協力経験のある方を学校に招き、2回ほど授業を行いました。また、「SDGs(持続可能な開発目標)」についても学び、地球がこのままでは持続可能ではないかもしれないことに気づいた子ども達に、持続可能にするために自分たちに何ができるのかを問いかけ、時間をかけて向き合っていきました。

「持続可能な社会づくり」は一人でできることではありません。児童は調べたこと、考えたことを自分の中でとどめるのではなく、一人でも多くの人に知ってもらえるよう学習発表会でも少し触れ多くの人に発信しました。また、普段から意識付けするために、SDGsの表を教室に掲示し、今学んだことや考えたことが、どの目標と関係が深いのか意識できるようにしました。授業時間のみならず、常に目の前の現実が、SDGsの何と関係があるのか自覚を高める機会ができたと思います。常に、自分にできることは何なのか考えていけることが大切だと思います。

そのようにして5年生をすごした後、6年生になり修学旅行にて地球ひろばを訪問。修学旅行前にまた、国際協力経験者に体験談を聞く機会をつくりました。

地球ひろば訪問

今年の地球ひろば訪問時は、ちょうど「イノベーションってナニ?展」が開催されていました。
事前学習として、これまで3名の方の国際協力体験談を聞いてきました。どの方も「途上国の人々と共に暮らしながら、従来のやり方を共に見直し、身の回りにあるものを工夫して付け足す」というような話でしたが、展示ではドローンによる支援物資輸送や、3Dプリンターによる義足製作など、全くの新技術の投入による国際協力についても知ることができました。また、一口に「途上国」といっても、その発展具合も、中心となる課題も実に様々であることが分かりました。世界の広さや、国際協力活動を知り、自分達の生活との違いや共通点、自分たちができることを深く考えるきっかけとなりました。
国内外問わず誰かの生活を助けるような仕事をしてみたい、国際協力の現場である途上国にいってみたい、というような気持ちを持った児童もいるようです。
特に各国ごとにSDGs達成率を示す「SDGsダッシュボード」は児童の心に大きく残ったようです。ボードを通じて、日本も未達成なゴールが多いこと、分野によっては途上国の方が日本よりも前進している取り組みがあることが一目で理解できました。児童にとっては、とても分かりやすい展示でした。

指導側の留意事項としては、地球ひろばの展示テーマは、数か月ごとに変わるので事前の下見をし、児童にどう投げかけるのか検討することが重要と感じました。また、学習・成長の記録として、ワークシートを渡すと、子どもたち自身にとっては学びのふり返り、教師側にとっては子ども達が何に関心をもち、どのように解釈しているか等、理解につながると思います。

小学6年生で地球ひろばを訪問する意味

修学旅行でのJICA地球ひろばの訪問で学習をするにあたって何より大切なのは、世界のことをたくさん知り、そこにも自分たちと同じ人の生活があり、たくさんの人が生きている——そう知ることを、自分の生き方を考える機会にすることかと思います。
そのためには、ただ訪問するだけでなく、訪問の前に事前学習をしっかりしておくことがとても大事と感じています。もちろん、展示を見て初めて知るからこその感動や気づきもあるかもしれません。しかし、SDGsの基本的な内容を知っているからこそ、訪問で世界の課題や国際協力を目の当たりにした時に、興味をもってその展示と持続可能性のかかわりを考えることができるようになると思います。
また、可能な限り、たくさんの方から国際協力活動話を聞くことも大切だと思います。教科書で読むのではなく、実際に話を聞くことで子どもたちが身近に感じることができますし、世界や国際協力活動の多様性を理解することもできます。

安孫子先生からはこのような取り組みのご説明のみならず、5年生の時に国際協力体験談を聞くにあたっての学習指導略案と、昨年度6年生の振り返り時に使われたワークシートをいただきましたので、以下リンクにて共有させていただきます。安孫子先生、ご協力誠にありがとうございました。また地球ひろばに生徒の皆さんといらしていただく日を、世界に近づくきっかけが提供できるよう用意して、お待ちしております。

報告:JICA広報室地球ひろば推進課・八星 真里子

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