スマラット・プタン(こんにちは)!8月9日から14日にかけてJICAオフィシャルサポーターの伊達公子さんがマレーシアにやってきました。マレーシアは、東南アジアのほぼ中心に位置し、マレー系、中華系、インド系など多民族がそれぞれの文化、宗教を大切しにながら暮らす常夏の国。高い経済発展を遂げ、2020年には先進国入りをめざすというこの国で、JICAはどんな協力を行っているのでしょうか?
「障害者スポーツ」をテーマにマレーシアを訪問した伊達さんの様子をお伝えします。
8月9日、台風9号を乗り越え、約7時間のフライトで到着したのは、首都クアラ・ルンプール。空港から市内まで、油ヤシのプランテーションを切り開いて造った片道3車線の高速道路が走り、建設中の高層ビルやマンションが目に入ってきます。極めつけは、つい3年前まで世界一の高さだったというペトロナス・ツイン・タワー。アジアを代表する都市クアラ・ルンプールの顔です。「これまでJICAの視察でいった国々と違って、途上国のイメージはあまりないですね……」と伊達さん。少々とまどい気味で活動は始まりました。
まずJICAマレーシア事務所で井倉義伸次長からこの国の概要、JICA事業の現状について聞きました(コラム参照)。
もう途上国ではなく、先進国をめざす「中進国」になったマレーシア。これにともないJICAの事業はピーク時の半分以下に減っています。協力分野も、熱帯雨林などの自然環境保全のほか、ゴミや下水の問題解決などの1)環境、障害者の自立支援、海賊対策などの2)社会政策、相互依存を深める3)経済連携促進、マレーシアの経験を他の国の開発に生かす4)南南協力などに絞り込んでいます。これらは、かつての日本がそうだったように経済成長の陰になり後回しにされがちな分野。街を散歩して、歩道の段差や穴、蓋のない排水溝など障害のある人にとって思いやりがあるとはいえない光景を目の当たりにした伊達さん、「福祉や環境など見えにくいところで必要としているものがある。真の先進国になるための協力なんですね」と大分疑問が解けてきたようです。
さて、今年11月にマレーシアでは初めて「フェスピック(極東・南太平洋障害者連盟)大会」が開催されます。これはパラリンピックをめざすアスリートだけではなく、多くの障害者が集まってスポーツ競技を楽しむことを目的にしたもの。この大会に向けてJICAは青年海外協力隊やシニア海外ボランティアを派遣し、選手の強化から各スポーツの普及を支援しています。
伊達さんが今回テニスで交流するのも、子どもから大人まで障害をもつ人たち。「障害をもっていてもスポーツを楽しめる」ということを伝えたい伊達さんと、障害者支援に力を入れるJICAマレーシア事務所のコラボレーションで実現しました。