キッズテニス イン モンゴル(5/5ページ)

第2回キッズテニス:於 ダルハン市

ここでテニスを一緒にする子どもたちは、昨日訪問したオユニーレドゥイー統合学校の3年生38名です。全員が白いTシャツに赤のショートパンツと、このテニスのために揃えたというユニフォーム、その中でも女の子はさらに全員、赤い大きなリボンの髪飾りで集まってくれました。JICA事務所のモンゴル人スタッフの説明によれば、こうした衣装は「社会主義時代の名残り」とのこと。もしかしたら、外国人のお客さんを迎えると、少し緊張しているのかなあ、と心配になりました。

しかし、テニスが始まったら子どもたちは元気いっぱい。大きなリボンが、キリリと締めた鉢巻のように見えるくらい、どの子どもたちの動きもダイナミック。初めてテニスラケットを握るという子どもたちばかりでしたが、とてもチームワークが良く、ラリーを続けられる子どもたちが多かったのが印象的でした。

昼食は野外でモンゴル伝統料理「ホルホグ」をいただきました。モンゴルで一番のごちそうと言われる「ホルホグ」は、ほぼ一頭分の羊の肉とにんじん、じゃがいもを熱々にした石と一緒に「ヴィトン」と呼ばれるアルミ製の壷に入れて、蒸し焼きにしたものです。

テニスで動き回った子どもたちは、まさに「ほおばる」といった言葉どおり、自分の口に入らないくらい大きなお肉にかぶりつく様子が、とてもかわいらしく、思わず笑ってしまいました。

後で伺って驚いたのは、昼食を作ってくださったのはオユニーレドゥイー統合学校の先生や、ダルハン教育局の指導主事の先生たちだったということ。また、ダルハン周辺の街にいらっしゃる青年海外協力隊、シニア海外ボランティアのみなさんが、このテニスを手伝うために駆けつけてくださったとのこと。関係者の皆さん総出で、キッズテニスを盛り上げてくださったのですね。ありがとうございました!!

教育分野:国立孤児院

滞在最終日、モンゴル国立孤児院で活動する青年海外協力隊員の松井絵理さんの活動を視察しました。松井さんは「青少年活動」の隊員ですが、その活動は本当に幅広いものだと感じました。「子どもたちはやはり、日本文化とか日本語に興味があるんですよ」と松井隊員は自分の活動を紹介してくださいましたが、子どもたちが興味を持つことになら、何でも取り組むといった姿勢で、先生というより母親、お姉さんといった役割を果たしているように見えました。

松井隊員と一緒に学校だけでなく、孤児たちが暮らす寮も見せていただきました。小さな部屋を複数で使用せざるを得ず、決して恵まれた環境とは言えない場所で生活する子どもたちですが、それは元気で明るく、私まで元気をもらった気がしました。

日本センター:オープントーク

滞在中に自分の言葉で、滞在する国の人々に自分の感じたことを伝える、ということはこれまであまりなかったことですから、最初は少し緊張しました。JICAモンゴル事務所の企画で、モンゴルで子ども向けテレビ番組を企画し、自らも出演しているアナウンサーのアリウナさんが司会、私と対談させていただくのはモンゴルの若手人気俳優のボルドエルデネさんでした。

150人が入れる日本センターの会場には、200人近くの方が集まってくださいました。アリウナさんが時々、会場の笑いを誘いながら、トークをリード。ボルドエルデネさんには女の子たちの「キャーッ」という歓声も上がり、あっと言う間に会場は、とても和やかな雰囲気になりました。

会場に集まった方からいただいた質問では、前の方に座っている小さな女の子から「モンゴルの印象はどうですか?」と訪ねられたのがとても印象に残っています。それから「テニスコーチをしていますが、テニスを教えるときのポイントは何ですか?」とか「プロスポーツ選手としての心構えは?」等、様々な質問が出ました。トークが終わりの時間になっても、たくさんの質問の手が挙がっていました。

キッズテニスだけでなく、こうしたふれあいの時間をモンゴルの人々と共有することができたのも、滞在中の思い出深い1コマとなりました。

最後に…モンゴル滞在を振り返って

モンゴルではほとんどの子がテニスを初めて、と言うよりは、テニス自体を知りませんでした。テニスというとテーブルテニス(卓球)だと思ってしまうらしいです。モンゴルは9月中旬にはもう初雪が降り、真冬には気温がマイナス30〜40℃にもなるので、インドアスポーツ(主にバスケット・卓球)が人気なのです。

【写真】

しかし、いざテニスが始まると卓球でラケットというものに慣れているせいか、中にはすぐに打てるようになる子どもたちもいました。

一番驚いたことはみんな元気いっぱいで積極的なこと!

ある程度時間が経ったところで、真ん中のコートに子どもたちを集め、自信のある子にみんなの前で打ってもらうのですが、ここモンゴルでは多くの子どもたちが手を挙げて「私がやりたい」。日本ではほとんど見ない光景ですから、「近い国でもこんなに違うのだなあ」と本当にビックリしました。また、「女性の方が男性より優秀」とも言われ、多くの女性が社会で活躍しているモンゴルですが、このキッズテニスの場でも女の子が男の子を押しのけて、先頭に並んでいたことにも非常に驚きました。キッズテニス終了後「もう1回テニスやってみたい人?」と聞いたら、ほとんどの子どもが手を挙げてくれたことがとても嬉しかったですね。現状では難しいところもあるのかもしれませんが、できる限り今後も続けていって欲しいというのが、私の願いです。

大草原ばかりを想像していましたが、首都は大都市であること、女性が元気で、国を引っ張っていることです。このペースで建設が進めば何年後かに来る頃には想像を超える発展をしているのだと思います。もちろん建物だけでなく、こんなに語学の堪能な人達が多いですし、国際社会で活躍される方も、今の何倍にもなることだと思います。

語学が堪能といえば、JICAモンゴル事務所のナショナルスタッフの皆さんの日本語の流暢さには本当に驚きました。どの人が日本人で、どの人がモンゴル人なのか、話すだけでは分からないくらいでした。私の滞在中に皆さんが順番に通訳してくださり、私の滞在をサポートしていただきました。

青年海外協力隊、シニア海外ボランティアの皆さんが、毎日モンゴルの人々と向きあい、一緒に前に進もうとしている姿には胸を打たれました。それはJICAのプロジェクトも同様で、大きなプロジェクトであっても向き合っているのはモンゴルの人々1人ひとりとであることを実感しました。1人が、1つのプロジェクトが、達成できることはきっと小さなことだと思いますが、それが積み重なって確実にモンゴルの力となっていることを実感しました。

プライベートでも来てみたいです。次回はゲルに泊まってみたいなあ。